2016年6月26日日曜日
詩#268 人口爆発//なん番目の少女//
詩#268 人口爆発//なん番目の少女//
網戸の網の目についた白露を
接吻の口ですする
一億八千六百四十二人限定の世界に
一億八千六百四十三人目に生まれた
両親の血を売る浅ましい少女
網戸の網の目についた白露を
接吻の口ですする
一億八千六百四十二人限定の世界に
一億八千六百四十三人目に生まれた
両親の血を売る浅ましい少女
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詩#264 助けて
#264 助けて
幻覚の僅かな隙間の
正気を探し続けた
“僕のそれが全て”で
幻聴を無視できる瞬間の
本音を見つけ続けた
“僕のそれが願う自身”であった
看護師の白さに黒目がよじれ
狂う中に
「どうがその僕を探してください」
精神の炭化を隠す
張り付いた白いシーツに巻き取られ
幻覚の激しい痛み
膝を打ち壊し
看護師に助けを請う
血液検査の精血までもが
擦り切れた幻聴と
溺れる幻覚に紛れてしまう
針から抜けた血から死臭がした
看護師の触れる手に
母性の傾きを求め
脳狂言の舞台劇
毒盛られた食事は食べられないと
点滴の晩餐を僕は選ぶ
チューブは手首を絞め殺し
この身体は刺されることを受け入れてしまう
医師の白衣は能面をしたためた
幻覚の僅かな隙間の
正気を探し続けた
“僕のそれが全て”で
幻聴を無視できる瞬間の
本音を見つけ続けた
“僕のそれが願う自身”であった
看護師の白さに黒目がよじれ
狂う中に
「どうがその僕を探してください」
精神の炭化を隠す
張り付いた白いシーツに巻き取られ
幻覚の激しい痛み
膝を打ち壊し
看護師に助けを請う
血液検査の精血までもが
擦り切れた幻聴と
溺れる幻覚に紛れてしまう
針から抜けた血から死臭がした
看護師の触れる手に
母性の傾きを求め
脳狂言の舞台劇
毒盛られた食事は食べられないと
点滴の晩餐を僕は選ぶ
チューブは手首を絞め殺し
この身体は刺されることを受け入れてしまう
医師の白衣は能面をしたためた
詩#263 狂夏
#263 狂夏
木天蓼の口紅を塗られた女の
恍惚の体温計は閉鎖病棟に続く
蜃気楼の渡り廊下
不明な僕の微熱の
足袋足が擦れて歩き
置き土産にされた
病棟にある真っ赤なポスト
綺麗な日本語のアルファベットを探すように
錠剤に書かれた鏡文字の
気狂いの数字を舌で舐め溶かし
両性花の引き抜いた花弁と
混濁投函
精神病の礼儀文に候
死に向かう中でさえも
絶望を見つめてしまった
ショウリョウバッタの
三角の頂点をピン留め
季語は狂夏
続き続ける幻覚のカウントは
ベットの鉄格子に
僕が咥えたティッシュの結び目
まるで赤いうさぎの耳を勃たせるように
今日は何日め?
木天蓼の口紅を塗られた女の
恍惚の体温計は閉鎖病棟に続く
蜃気楼の渡り廊下
不明な僕の微熱の
足袋足が擦れて歩き
置き土産にされた
病棟にある真っ赤なポスト
綺麗な日本語のアルファベットを探すように
錠剤に書かれた鏡文字の
気狂いの数字を舌で舐め溶かし
両性花の引き抜いた花弁と
混濁投函
精神病の礼儀文に候
死に向かう中でさえも
絶望を見つめてしまった
ショウリョウバッタの
三角の頂点をピン留め
季語は狂夏
続き続ける幻覚のカウントは
ベットの鉄格子に
僕が咥えたティッシュの結び目
まるで赤いうさぎの耳を勃たせるように
今日は何日め?
2016年6月25日土曜日
詩#257 基準
詩#257 基準
立ち枯れた枝に垂れ下がる
青のものさし
図り流す赤い血は
ヤードポンド法では測れず
メートル法では規格外
尺貫法の閉ざされた世界の
後ろ姿は女
落掛に吊るされた一輪挿しの
薔薇の棘を掴んだ腕は
掘削機にかけられ
手にした棘は女の守り神
柱割りにくくられた
微震に怯える
嗅覚に恥じらう番犬
六尺三寸に横座りの足枷がはめられ
瞼の裏側だけの死角に
妄想という映像化される
ひとりぼっちの視覚
縫合した牡丹に針子のボタン止め
敷き詰めた記憶の罰に
嘘つきな幻覚の
頂点三つの痛覚
有刺鉄線が女を喰い込む
立ち枯れた枝に垂れ下がる
青のものさし
図り流す赤い血は
ヤードポンド法では測れず
メートル法では規格外
尺貫法の閉ざされた世界の
後ろ姿は女
落掛に吊るされた一輪挿しの
薔薇の棘を掴んだ腕は
掘削機にかけられ
手にした棘は女の守り神
柱割りにくくられた
微震に怯える
嗅覚に恥じらう番犬
六尺三寸に横座りの足枷がはめられ
瞼の裏側だけの死角に
妄想という映像化される
ひとりぼっちの視覚
縫合した牡丹に針子のボタン止め
敷き詰めた記憶の罰に
嘘つきな幻覚の
頂点三つの痛覚
有刺鉄線が女を喰い込む
詩#278 死にたいポルノ
詩#278 死にたいポルノ
人手に渡るヒトデの人撫で声に
真赤な分子の死にたい摩擦
粘着する自己保存の口紐が
弛んで鳴いた
ボク ヲ コロシテクダサイ
血にふやける薄皮の磨耗は
耳を疑えない幻聴への近道
認められない真実の目は
粉砕機の中の
叫喚部位に浸っている!
悪辣する垂れた背筋の胎児
腫れ上がった無声ポルノ
淫猥が教理の蜘蛛の巣に引っかけ
黄ばんだリンゴの芯に吊られている
人手に渡るヒトデの人撫で声に
真赤な分子の死にたい摩擦
粘着する自己保存の口紐が
弛んで鳴いた
ボク ヲ コロシテクダサイ
血にふやける薄皮の磨耗は
耳を疑えない幻聴への近道
認められない真実の目は
粉砕機の中の
叫喚部位に浸っている!
悪辣する垂れた背筋の胎児
腫れ上がった無声ポルノ
淫猥が教理の蜘蛛の巣に引っかけ
黄ばんだリンゴの芯に吊られている
詩#261 無季節の患者
詩#261 無季節の患者
どこの誰だか名も知らぬ者同士が
無四季の向かい合った病室に潜んでいる
ふたりが喋り続けるのは
閉鎖病棟の輪廻のような
青く削りあげた如輪木にしかないと
冷たさをこじ開けるように
一層穏やかに医師は言った
出会うことのない
不義なふたりの出会いは
能面で廊下を覗き込んだからだった
オレンジに染まる廊下には
匂立つ幼い頃の
大きな夕日の衝突が立ち枯れし
一点透視図のような
伸びたふたりの人影を
不定愁訴が吐き出している
影だけの重なりは
強張りを消失するかわりに
骨張る骸骨の痛み分けをはじめ
ピンドットの血飛沫を
コインドットの血だまりに変えた
蠱惑する看護師の手垢が
夜霧にかざされた時
手すりの赤い涙が慰めるように
ささくれたふたりの口唇に触れた
黙らせていた弱む影は
無風の止めてしまう命に
本心の生き抜く風鈴を鳴らす団扇を仰いだ
真っ赤な異常事態を知らせる
警報装置のコードブルーが騒ぎ立ち
留まりたいと懇願する
妖影の支離滅裂な存在を感知すれば
幻聴に傾けた耳が堕ちぬようにと共鳴
いつしか夕日は
愛育の青く打ち破れた波を呼び寄せ
黙秘の影をうっすら喋らせた
歪な口元を動かすことなく
過去への相容れない挨拶をさせたのだ
神経伝達物質は決して
辛い記憶の旅はさせない
思い返しても思い出すことの出来ない
自身の脳が廃棄された記憶
決して口にしない
あの季語とその時節
震えて溢れかえる無の季節に
僅かに残された神経伝達物質の
燃え滓さえも燃え尽きてしまった僕の精神
学帽を深く被る影の涙は真っ白で
それはシナプスが棺桶を覗き込んだ
死化粧の白粉だった
どこの誰だか名も知らぬ者同士が
無四季の向かい合った病室に潜んでいる
ふたりが喋り続けるのは
閉鎖病棟の輪廻のような
青く削りあげた如輪木にしかないと
冷たさをこじ開けるように
一層穏やかに医師は言った
出会うことのない
不義なふたりの出会いは
能面で廊下を覗き込んだからだった
オレンジに染まる廊下には
匂立つ幼い頃の
大きな夕日の衝突が立ち枯れし
一点透視図のような
伸びたふたりの人影を
不定愁訴が吐き出している
影だけの重なりは
強張りを消失するかわりに
骨張る骸骨の痛み分けをはじめ
ピンドットの血飛沫を
コインドットの血だまりに変えた
蠱惑する看護師の手垢が
夜霧にかざされた時
手すりの赤い涙が慰めるように
ささくれたふたりの口唇に触れた
黙らせていた弱む影は
無風の止めてしまう命に
本心の生き抜く風鈴を鳴らす団扇を仰いだ
真っ赤な異常事態を知らせる
警報装置のコードブルーが騒ぎ立ち
留まりたいと懇願する
妖影の支離滅裂な存在を感知すれば
幻聴に傾けた耳が堕ちぬようにと共鳴
いつしか夕日は
愛育の青く打ち破れた波を呼び寄せ
黙秘の影をうっすら喋らせた
歪な口元を動かすことなく
過去への相容れない挨拶をさせたのだ
神経伝達物質は決して
辛い記憶の旅はさせない
思い返しても思い出すことの出来ない
自身の脳が廃棄された記憶
決して口にしない
あの季語とその時節
震えて溢れかえる無の季節に
僅かに残された神経伝達物質の
燃え滓さえも燃え尽きてしまった僕の精神
学帽を深く被る影の涙は真っ白で
それはシナプスが棺桶を覗き込んだ
死化粧の白粉だった
詩#260 音楽の時間
詩#260 音楽の時間
枕詞の掛詞 上顎外れた 投げ言葉
平仮名 戒名 送る仮名
死語の絵文字 尾骨抜いた 刺し言葉
偽文字 癖文字 鏡文字
俗語の痛文字 尺骨折れた 抜き言葉
主文 作文 脅迫文
窄めた口の垂れた耳
拍手喝釆 痛手に逆手
吊り目の老顔 団子鼻
威武堂々 抜いたさし足 勇み足
指名手配のモンタージュ
触れもの 振り向く 振袖の
身投げた金魚の 身悶え 身震い
息のかかった 金の箔
流し流した 見受けの 質に
お宮参りのホシ流れ
枕詞の掛詞 上顎外れた 投げ言葉
平仮名 戒名 送る仮名
死語の絵文字 尾骨抜いた 刺し言葉
偽文字 癖文字 鏡文字
俗語の痛文字 尺骨折れた 抜き言葉
主文 作文 脅迫文
窄めた口の垂れた耳
拍手喝釆 痛手に逆手
吊り目の老顔 団子鼻
威武堂々 抜いたさし足 勇み足
指名手配のモンタージュ
触れもの 振り向く 振袖の
身投げた金魚の 身悶え 身震い
息のかかった 金の箔
流し流した 見受けの 質に
お宮参りのホシ流れ
2016年6月24日金曜日
詩#256 診断書
詩#256 診断書
青むような熱を帯びて
青い花びらを降らせた鉄塔
ざらついた鉄格子に
むき身にしたカタツムリ這えば
狂熱の苦しみが
本性の血毛玉を吐き散らす
立ち枯れた枝に垂れ下がる
生き抜けない僕の
青い死病診断書
いつかの墓地で出会った
横向きの赤い信女
恥じらう戒名手渡され
時の足元は
こんもりとした土の斜面を
丸くした素足の
足の裏が捉えていた
指の間に遺灰を
ギュッとかたく丸め込んだ抑圧
いつまでも終わらない明日は
汲み置いた猛暑の青空
青むような熱を帯びて
青い花びらを降らせた鉄塔
ざらついた鉄格子に
むき身にしたカタツムリ這えば
狂熱の苦しみが
本性の血毛玉を吐き散らす
立ち枯れた枝に垂れ下がる
生き抜けない僕の
青い死病診断書
いつかの墓地で出会った
横向きの赤い信女
恥じらう戒名手渡され
時の足元は
こんもりとした土の斜面を
丸くした素足の
足の裏が捉えていた
指の間に遺灰を
ギュッとかたく丸め込んだ抑圧
いつまでも終わらない明日は
汲み置いた猛暑の青空
詩#255 自制
#255 自制
念仏を突き上げた箱に頭を差し込んで
最初の女より最後の女でありたいと
細く細かい糸を伸ばし
余った精子をかき集めては
マッチ棒の頭を子宮壁に擦りつけた
放火魔が回した いけない火種は
キッチンのフローリングに落ち
猫ボスの毛玉を飲み込んでいく
「わたしが殺したのはあなたじゃない
自分の声帯を殺したの
ごめんないさい
声だけは騙せなかった」
誰かの誰かからの供え物を咥えて舐めた
目の奥まで焼けただれてしまうような
においにむせ返ったくしゃみ
ナイフが羽布団を刺し
真っ黒なカラスの羽だけを
ベランダから自殺させてやる
幻聴に耳を研ぎ澄まし悲しませた分だけ
念仏を突き上げた箱に頭を差し込んで
最初の女より最後の女でありたいと
細く細かい糸を伸ばし
余った精子をかき集めては
マッチ棒の頭を子宮壁に擦りつけた
放火魔が回した いけない火種は
キッチンのフローリングに落ち
猫ボスの毛玉を飲み込んでいく
「わたしが殺したのはあなたじゃない
自分の声帯を殺したの
ごめんないさい
声だけは騙せなかった」
誰かの誰かからの供え物を咥えて舐めた
目の奥まで焼けただれてしまうような
においにむせ返ったくしゃみ
ナイフが羽布団を刺し
真っ黒なカラスの羽だけを
ベランダから自殺させてやる
幻聴に耳を研ぎ澄まし悲しませた分だけ
詩#254 罪と精神鑑定
#254 罪と精神鑑定
償い方を忘れてしまった
統合失調症に
僕の内奥が叫び声をあげる
痛めた悲鳴にもなれず
腐敗ほど美しくはなくて
罪を背負えなかったという
ただただ汚れた塊
精神鑑定よ
あなたはそれほど正しく
幻聴よ
あなたはどれほど魔性なのか
レモンをかけられ
変色しなくなったカメレオンの
皮をめくる夜
泣かないあなたに
ホワイトオニオンを
乱切りしたナイフが胸を突く
硫化リアルは
催涙を拒み
透明な薄皮は滑らす悪戯に
木天蓼の葉を白抜きした
黒いハンドクリームが
白い手に染みた時
肉を喰わせた空は
何色に見えたか
精神鑑定を含んだ死神に
僕は話しかけてしまう
林檎を齧りながら
償い方を忘れてしまった
統合失調症に
僕の内奥が叫び声をあげる
痛めた悲鳴にもなれず
腐敗ほど美しくはなくて
罪を背負えなかったという
ただただ汚れた塊
精神鑑定よ
あなたはそれほど正しく
幻聴よ
あなたはどれほど魔性なのか
レモンをかけられ
変色しなくなったカメレオンの
皮をめくる夜
泣かないあなたに
ホワイトオニオンを
乱切りしたナイフが胸を突く
硫化リアルは
催涙を拒み
透明な薄皮は滑らす悪戯に
木天蓼の葉を白抜きした
黒いハンドクリームが
白い手に染みた時
肉を喰わせた空は
何色に見えたか
精神鑑定を含んだ死神に
僕は話しかけてしまう
林檎を齧りながら
詩#251 死んで
#251 死んで
死んでしまったから
許されることを
現実的に
命を削ってしまう
わたしのノートには
いつものカラスがとまっている
お気に入りの
真っ赤な万年筆を止まり木にして
自ら体を傷つけた
羽ペンの赤文字に
液だれしている
死ねの文字
平和活動家は言った
戦争がわかれば
ならない平和がわかって
もぐりの医者は言う
薬剤コントロールで
恐怖を覚えさえ
剃毛した看護婦が教える
口の中に貼りつく錠剤で
不安を知るの
知ったかぶった僕は何を言おうかと
語り継がれた幻覚と
妄想のフィクションだけを話す
死んでしまったから
許されることを
現実的に
命を削ってしまう
わたしのノートには
いつものカラスがとまっている
お気に入りの
真っ赤な万年筆を止まり木にして
自ら体を傷つけた
羽ペンの赤文字に
液だれしている
死ねの文字
平和活動家は言った
戦争がわかれば
ならない平和がわかって
もぐりの医者は言う
薬剤コントロールで
恐怖を覚えさえ
剃毛した看護婦が教える
口の中に貼りつく錠剤で
不安を知るの
知ったかぶった僕は何を言おうかと
語り継がれた幻覚と
妄想のフィクションだけを話す
2016年6月23日木曜日
詩#248 SとM
#248 SとM
闇の厚化粧に早贄が刺さる
Sの目覚めは弱さを知り
Mの目覚めは哀しみを覚える
薄日に隠れる薄馬鹿な薄羽蜉蝣
白くないモンシロチョウの
鱗粉だけを手に入れ
アルビノ女王蟻の
性器に叩いてやる
本性剥いた誰かの
三角に欠けた夢精な氷砂糖の無性な夢精
貴女の口唇の皺を
指先に知らせた後身に
悦の行進
無風な痛みが
黒光りする冷酷なステッキを
SとMのどちらかに傾かせる
闇の厚化粧に早贄が刺さる
Sの目覚めは弱さを知り
Mの目覚めは哀しみを覚える
薄日に隠れる薄馬鹿な薄羽蜉蝣
白くないモンシロチョウの
鱗粉だけを手に入れ
アルビノ女王蟻の
性器に叩いてやる
本性剥いた誰かの
三角に欠けた夢精な氷砂糖の無性な夢精
貴女の口唇の皺を
指先に知らせた後身に
悦の行進
無風な痛みが
黒光りする冷酷なステッキを
SとMのどちらかに傾かせる
詩#247 空
#247 空
空の厚化粧
一直線に紅指す
飛行機雲の薄化粧
夕日を朝日に見立てた
抗う僕の生活
ボクの薄目の助走は
少し目を見開いたのだろうか
ボクは薄目をしたという
少し目を閉じたのだろうか
横たわったままのボクは
選択肢にいつも溶け出している
いつの年号の空が美人であったのか
いつの西暦の星が醜美であったのか
いつの世代の花が美学であったのか
夕日は朝日で朝日は夕日だと
変わるはずのない太陽を
人は崇めて
空の厚化粧
一直線に紅指す
飛行機雲の薄化粧
夕日を朝日に見立てた
抗う僕の生活
ボクの薄目の助走は
少し目を見開いたのだろうか
ボクは薄目をしたという
少し目を閉じたのだろうか
横たわったままのボクは
選択肢にいつも溶け出している
いつの年号の空が美人であったのか
いつの西暦の星が醜美であったのか
いつの世代の花が美学であったのか
夕日は朝日で朝日は夕日だと
変わるはずのない太陽を
人は崇めて
詩#245 爪
#245 爪
あからさまな青に
僕の青が苦悩し
毛羽立つ倒れた毛玉になって
アスファルトに転がっていたら
新しい飼い主が
金魚の尾ひれを掬うように拾い上げた
時計の短針と長針が
11と12の間を
さしている
僕の眠るは意識を失うこと
僕は短針と長針が
重なるのを知らない
飼い主が深夜にかけはじめた
音の闇は掃除機
しゃがみこむ
あなたの後ろ姿
僕は知っている
宝物を探すように
青い猫の爪を青い小瓶に
集めていること
明日の朝
その小瓶を僕も見るんだ
そう それは だって
僕の命が剥がした爪
奥歯に噛み締められた
白い錠剤が粉っぽく残っている
あからさまな青に
僕の青が苦悩し
毛羽立つ倒れた毛玉になって
アスファルトに転がっていたら
新しい飼い主が
金魚の尾ひれを掬うように拾い上げた
時計の短針と長針が
11と12の間を
さしている
僕の眠るは意識を失うこと
僕は短針と長針が
重なるのを知らない
飼い主が深夜にかけはじめた
音の闇は掃除機
しゃがみこむ
あなたの後ろ姿
僕は知っている
宝物を探すように
青い猫の爪を青い小瓶に
集めていること
明日の朝
その小瓶を僕も見るんだ
そう それは だって
僕の命が剥がした爪
奥歯に噛み締められた
白い錠剤が粉っぽく残っている
2016年6月22日水曜日
詩#240 落とされた本
#240 落とされた本
天守閣から落とされた
青い目薬
走り寄る白い瞳孔
外された縦目に
サングラスがかけられていた
狭められた闇の
視界をひたすらに
人差し指がなぞる
青インクの背表紙は
痛い文字を感じるほど
選ばれた避妊具のように
薄かった
ブルーに挟まる
抱え込んだL字ブックエンド
閉じられたページの
見つめた先
ぬめるカーテンを束ねた
タッセルが美しむ
分厚い亀裂の
差別用語辞典
悶える性表現の
性色辞典
不慮の力に縒れたページは
猫の毛咥え込んだ
エンタシスに似ている
天守閣から落とされた
青い目薬
走り寄る白い瞳孔
外された縦目に
サングラスがかけられていた
狭められた闇の
視界をひたすらに
人差し指がなぞる
青インクの背表紙は
痛い文字を感じるほど
選ばれた避妊具のように
薄かった
ブルーに挟まる
抱え込んだL字ブックエンド
閉じられたページの
見つめた先
ぬめるカーテンを束ねた
タッセルが美しむ
分厚い亀裂の
差別用語辞典
悶える性表現の
性色辞典
不慮の力に縒れたページは
猫の毛咥え込んだ
エンタシスに似ている
詩#237 別れの曲
#237 別れの曲
大人の姿に取り置きされた
演じられない子供の絶望は
口の中で濡れ膨張した手袋と
一緒に飲み込まれ
あるはずのない
自然な行進は
紛い物の運動会
行進曲の舞台装置は
淫を踏み続けた不穏なリズム
運動会はやがて社会へと走りだす
ありえない理路整然は手配師の奇策
生演奏に打ち据えられる
憚る編曲家の劇伴
帯をまわしたあなたの
黒鍵だけで弾く別れの曲
大人の姿に取り置きされた
演じられない子供の絶望は
口の中で濡れ膨張した手袋と
一緒に飲み込まれ
あるはずのない
自然な行進は
紛い物の運動会
行進曲の舞台装置は
淫を踏み続けた不穏なリズム
運動会はやがて社会へと走りだす
ありえない理路整然は手配師の奇策
生演奏に打ち据えられる
憚る編曲家の劇伴
帯をまわしたあなたの
黒鍵だけで弾く別れの曲
詩#236 kizu
#236 kizu
太陽を押さえ込んだ傷は月光への反射
こんなにも潮が引くのなら
その波に乗って月へ行けると
ウサギは行ってしまって
僕を見上げさせた満月
跳ねてるウサギ見て
ボクの身体は満ち潮で
びしゃびしゃなまま
喉の奥に
置いていかれた
塩辛さを感じながら
手を開いたら
いつの間にか
手 がぱっくりと
割れていた
岩場に張り付いていた
鋭いカラス貝のせいで
いまごろになって痛い傷
太陽を押さえ込んだ傷は月光への反射
こんなにも潮が引くのなら
その波に乗って月へ行けると
ウサギは行ってしまって
僕を見上げさせた満月
跳ねてるウサギ見て
ボクの身体は満ち潮で
びしゃびしゃなまま
喉の奥に
置いていかれた
塩辛さを感じながら
手を開いたら
いつの間にか
手 がぱっくりと
割れていた
岩場に張り付いていた
鋭いカラス貝のせいで
いまごろになって痛い傷
詩#235 公衆電話
#235 公衆電話
精神病を認めない
水玉模様の公衆電話に
月傘を差す裸の女
漏れ出す安置所の話し声に
指揃えた手話の受話器
喋り声を斑に変えた
変声のひそめた変性
折り返す愛撫の突き指
甘えたコレクトコールに
いけない同性愛
精神病を認めない
水玉模様の公衆電話に
月傘を差す裸の女
漏れ出す安置所の話し声に
指揃えた手話の受話器
喋り声を斑に変えた
変声のひそめた変性
折り返す愛撫の突き指
甘えたコレクトコールに
いけない同性愛
詩#233 白いたまねぎ
#233 白いたまねぎ
泣かないあなたに
ホワイトオニオンを
乱切りしたナイフが胸を突く
硫化リアルは催涙を拒み
透明な薄皮は滑らす悪戯に
木天蓼の葉を白抜きした
黒いハンドクリームが
白い手に染みた時
肉を喰わせた空は何色に見えたか
泣かないあなたに
ホワイトオニオンを
乱切りしたナイフが胸を突く
硫化リアルは催涙を拒み
透明な薄皮は滑らす悪戯に
木天蓼の葉を白抜きした
黒いハンドクリームが
白い手に染みた時
肉を喰わせた空は何色に見えたか
2016年6月21日火曜日
詩#232 凹凸
#232 凹凸
見つけ人の影だけを睨んだ
尋ね人が抱き上げた陽炎の影
よく見たそれは
白線で引かれた人型でした
薬包の折り鶴に耳を預けて
立ち昇る火葬場の煙突の凸だけの煙を
青いビニール袋に詰め込んだ
いつでも起き上がれるよう
月影の凹が磁場に瞬いた時
黒い手袋に塗り固めた
白いハンドクリームが
刺繍の凹を埋める時
青い風船が破裂して
炙ったミイラの遺灰を
白い粉にして吸い込む
いつでも正直な
真っ青に生き抜いていけるよう
見つけ人の影だけを睨んだ
尋ね人が抱き上げた陽炎の影
よく見たそれは
白線で引かれた人型でした
薬包の折り鶴に耳を預けて
立ち昇る火葬場の煙突の凸だけの煙を
青いビニール袋に詰め込んだ
いつでも起き上がれるよう
月影の凹が磁場に瞬いた時
黒い手袋に塗り固めた
白いハンドクリームが
刺繍の凹を埋める時
青い風船が破裂して
炙ったミイラの遺灰を
白い粉にして吸い込む
いつでも正直な
真っ青に生き抜いていけるよう
詩#231 自殺予言
#231 自殺予言
海に身投げた鳥の死ねないペンギン
お腹の中には
笑った古代魚の咥えた鰆
二足歩行 亀泣かせた 四つ這い
泳げなくなった進化魚
まだ空は飛べない
予言書
人間が空飛べるようになった時
人は空に向かって身投げるであろう
自殺名:飛び上がり自殺
その時節
下から上に黒い花吹雪が舞う頃
海に身投げた鳥の死ねないペンギン
お腹の中には
笑った古代魚の咥えた鰆
二足歩行 亀泣かせた 四つ這い
泳げなくなった進化魚
まだ空は飛べない
予言書
人間が空飛べるようになった時
人は空に向かって身投げるであろう
自殺名:飛び上がり自殺
その時節
下から上に黒い花吹雪が舞う頃
詩#230 誰にも言えない
#230 誰にも言えない
誰にも言えない
指が六本の手袋を拾ったこと。
その手袋に足の六指全部入れたこと
誰にも言えない
手に持ったのは蝶の標本ではなく
蝶の羽だけを毟った標本
誰にも言えない
生きてるのは食べないけど
死んだ仲間を食べた不思議
誰にも言えない
ウツボが持っていない縁側に
持っていない鱗を差し込んでみたこと
誰にも言えない
雨の日。蝸牛を剥き身にしたこと
誰にも言えない
ピンドットの血しぶきを
コインドットの血だまりに変えたこと
誰にも言えない
神木の年輪を削って樹齢詐称したこと
誰にも言えない
液浸標本の水槽に赤子を産み落としたこと
誰にも言えない
標本の虫ピンを抜いて
死んでる人間に刺してみたこと
誰にも言えない
生きてる虫のまま透明標本にしたこと
誰にも言えない
水槽の水を熱湯に変えたこと
誰にも言えない
縋り付いてきた
未遂の首吊り自殺の女の足を払って
首を絞め直してあげたこと
誰にも言えない楽しみ
誰にも言えない
指が六本の手袋を拾ったこと。
その手袋に足の六指全部入れたこと
誰にも言えない
手に持ったのは蝶の標本ではなく
蝶の羽だけを毟った標本
誰にも言えない
生きてるのは食べないけど
死んだ仲間を食べた不思議
誰にも言えない
ウツボが持っていない縁側に
持っていない鱗を差し込んでみたこと
誰にも言えない
雨の日。蝸牛を剥き身にしたこと
誰にも言えない
ピンドットの血しぶきを
コインドットの血だまりに変えたこと
誰にも言えない
神木の年輪を削って樹齢詐称したこと
誰にも言えない
液浸標本の水槽に赤子を産み落としたこと
誰にも言えない
標本の虫ピンを抜いて
死んでる人間に刺してみたこと
誰にも言えない
生きてる虫のまま透明標本にしたこと
誰にも言えない
水槽の水を熱湯に変えたこと
誰にも言えない
縋り付いてきた
未遂の首吊り自殺の女の足を払って
首を絞め直してあげたこと
誰にも言えない楽しみ
詩#229 青い青い
#229 青い青い
汚したい青空に
撃ち上げた白いカラス
放った手にいたぶる言葉の
手袋が擦り込まれ
湿度の白さに手を染めた
先っぽ引っ張った皮は
指先の罰
朽ちない流木に
流れない若根
香木となった
老木に言い淀む
青い流木
金魚の身を寄せる尾鰭
汚したい青空に
撃ち上げた白いカラス
放った手にいたぶる言葉の
手袋が擦り込まれ
湿度の白さに手を染めた
先っぽ引っ張った皮は
指先の罰
朽ちない流木に
流れない若根
香木となった
老木に言い淀む
青い流木
金魚の身を寄せる尾鰭
2016年6月20日月曜日
詩#226 蛍の光
#226 蛍の光
源氏蛍の光る尻を指で隠す
その花弁は
雨と蛍の光で
溶けてしまうから
無灯火な篝火で
隠してしまうの
女彫り師の掘り上げた
秘密のタトゥーは
赤い目をした
蛍の光でしか
浮かび上がれない
けれども
蛍のキメラは
臀部に彫られた
秘儀のタトゥーの光でしか
光れないって…
「ねぇ
ちゃんと光らせるものを教えて
朝露が滴る頃には
命はないんですって」
嘆く生態学 青めく昆虫学 喪失の生理学
どこにも書かれていない教科書には
残さずに死ねる
交尾する人間の体位
抜けない痛みの勃起は
点滅する光の凄艶
剥がれた睫毛に燻る
縛り絞られた
虫かごの中の
儚い命
源氏蛍の光る尻を指で隠す
その花弁は
雨と蛍の光で
溶けてしまうから
無灯火な篝火で
隠してしまうの
女彫り師の掘り上げた
秘密のタトゥーは
赤い目をした
蛍の光でしか
浮かび上がれない
けれども
蛍のキメラは
臀部に彫られた
秘儀のタトゥーの光でしか
光れないって…
「ねぇ
ちゃんと光らせるものを教えて
朝露が滴る頃には
命はないんですって」
嘆く生態学 青めく昆虫学 喪失の生理学
どこにも書かれていない教科書には
残さずに死ねる
交尾する人間の体位
抜けない痛みの勃起は
点滅する光の凄艶
剥がれた睫毛に燻る
縛り絞られた
虫かごの中の
儚い命
詩#225 躑躅
#225 躑躅
花弁落ちぬ
花 腐れた病
進まぬ漢名
接木された
躑躅はキメラ
色 乱れ
入 乱れた
花言葉
「性の癖付け」
白躑躅 射った 赤躑躅
蜜蜂 囲う 毒躑躅
毒糸 垂れ引く 毒蜂蜜
住み着いた
六角部屋の働き蟻
待ち望む口移し
剥き出した針に
勃ち枯れた
毒躑躅の蜜を
膣に塗り秘める女王蜂
這わした蟻足が欠けていく
待ち構えた
変態の社会性に
キメラの呼び声
毟った羽は鬼面に化け
生殖者へと
変えさせる働き蟻
花弁落ちぬ
花 腐れた病
進まぬ漢名
接木された
躑躅はキメラ
色 乱れ
入 乱れた
花言葉
「性の癖付け」
白躑躅 射った 赤躑躅
蜜蜂 囲う 毒躑躅
毒糸 垂れ引く 毒蜂蜜
住み着いた
六角部屋の働き蟻
待ち望む口移し
剥き出した針に
勃ち枯れた
毒躑躅の蜜を
膣に塗り秘める女王蜂
這わした蟻足が欠けていく
待ち構えた
変態の社会性に
キメラの呼び声
毟った羽は鬼面に化け
生殖者へと
変えさせる働き蟻
詩#218 いろはにほへと
#218 いろはにほへと
氏から育った いろはにほへと
無い袖振って ちりぬるを
背に腹変えた わかよたれそ
似非者夫婦 つられならむ
飛ぶ鳥落ちぬ くいのおくやま
知ったが仏 けふこえて
憎まれっ子この世を去った あさきゆめみし
死人喋らせ ゐひもせず
氏から育った いろはにほへと
無い袖振って ちりぬるを
背に腹変えた わかよたれそ
似非者夫婦 つられならむ
飛ぶ鳥落ちぬ くいのおくやま
知ったが仏 けふこえて
憎まれっ子この世を去った あさきゆめみし
死人喋らせ ゐひもせず
2016年6月19日日曜日
詩#217 ひねた唱えごと
#217 ひねた唱えごと
二兎追って二兎得て
憎まれっ子 この世を去った
残ったものに福はなし
善は急ぐな 飛ぶ鳥落ちぬ
塵も積もれば谷になり
気長は損気 時は金なし
背に腹変えた まことから出た嘘
負けて兜の緒を締めよ
出る杭 打たれず 敵なし本能寺
火の無いところに煙立つ
辱めを受け一億石砕せよ!
二兎追って二兎得て
憎まれっ子 この世を去った
残ったものに福はなし
善は急ぐな 飛ぶ鳥落ちぬ
塵も積もれば谷になり
気長は損気 時は金なし
背に腹変えた まことから出た嘘
負けて兜の緒を締めよ
出る杭 打たれず 敵なし本能寺
火の無いところに煙立つ
辱めを受け一億石砕せよ!
詩#216 自然毛
#216 自然毛
越冬しない渡り鳥の春毛が
産声をあげた時
冬眠しない熊の産毛を
飼い主が剃りあげた
不愉快な痛快が迸る
やがて不穏で
穏やかに腐っていく
霖雨に打たれ
物乞いをはじめた
洞窟の中で
映えぬ白地を際立たせる
闘鶏の脚に挟まる癖毛は
捻って捻った若葉の
ポキリと折った葉脈の臭う青
円形脱毛の猿人に
病み上がりの円陣組んだエンジン
吼えたてた
はじめての威嚇は
僕を責め立て
逆剥ける発汗への動線
液化する液果は腋下の香る秘密
吸い込む老葉は銀杏の黄色
学のない遺体の吹かれた
タンポポの残された萼を
ひねり揉む
越冬しない渡り鳥の春毛が
産声をあげた時
冬眠しない熊の産毛を
飼い主が剃りあげた
不愉快な痛快が迸る
やがて不穏で
穏やかに腐っていく
霖雨に打たれ
物乞いをはじめた
洞窟の中で
映えぬ白地を際立たせる
闘鶏の脚に挟まる癖毛は
捻って捻った若葉の
ポキリと折った葉脈の臭う青
円形脱毛の猿人に
病み上がりの円陣組んだエンジン
吼えたてた
はじめての威嚇は
僕を責め立て
逆剥ける発汗への動線
液化する液果は腋下の香る秘密
吸い込む老葉は銀杏の黄色
学のない遺体の吹かれた
タンポポの残された萼を
ひねり揉む
2016年6月18日土曜日
詩#214 骨粗鬆症の女
#214 骨粗鬆症の女
積もれぬ
はぐれ雪の行く末は
主人の肉体に落ちる雪解け
待ち侘びる春の結晶尖らせ
上瞼に突き立てた指が
骸骨である事を知らせた
拒食症の女
「骨にはならないわ。」と
骨粗鬆症が笑ってみせる
真っ赤な夕日の青い空
口に含んだ吊り葡萄
残した皮が舌掠め
喉奥に置きざり
種子の色
液果の氷砂糖
閉じ込めた蟻の涎穴
月明りの太陽
月はのぼらなかったのか
太陽は自ら隠れたのか
次を支配した空の奴は
海色を何色にし
自身を映したか
暖とる灰猫 骨壷の中
積もれぬ
はぐれ雪の行く末は
主人の肉体に落ちる雪解け
待ち侘びる春の結晶尖らせ
上瞼に突き立てた指が
骸骨である事を知らせた
拒食症の女
「骨にはならないわ。」と
骨粗鬆症が笑ってみせる
真っ赤な夕日の青い空
口に含んだ吊り葡萄
残した皮が舌掠め
喉奥に置きざり
種子の色
液果の氷砂糖
閉じ込めた蟻の涎穴
月明りの太陽
月はのぼらなかったのか
太陽は自ら隠れたのか
次を支配した空の奴は
海色を何色にし
自身を映したか
暖とる灰猫 骨壷の中
詩#213 あべこべ
#213 あべこべ
穴掘る落ち葉を投げ入れた
オートクチュールのふわつく腐葉土
身投げの肉体労働 腐乱する願掛け
群がる蟲の腐らせぬ性欲を掻き立て
防腐剤手にした女王様の罰に
あべこべの花腐病
腐れぬ花の欲しがり
穴掘る落ち葉を投げ入れた
オートクチュールのふわつく腐葉土
身投げの肉体労働 腐乱する願掛け
群がる蟲の腐らせぬ性欲を掻き立て
防腐剤手にした女王様の罰に
あべこべの花腐病
腐れぬ花の欲しがり
2016年6月17日金曜日
詩#212 予定日の宣告
#212 予定日の宣告
妊婦に出産予定日を知らせない
老いない医師の余命宣告の死亡宣告
余命宣告に告ぐ!
余命を生きるのか?
死亡宣言に告げよ!
死亡日まで生き抜くのか?
出産予定日に告いだ!
予定日前の君は一体何者なのか?
1、出産は予定、死亡は余命宣告の
矛盾に叫ぶ詩
2、出産予定日ならば余命宣告ではなく
死亡予定日であるという詩
3、神しか宣告し得ないという
詩のようなもの
4、出産予定日前の赤子には何故
余命宣告の死亡予定日がないのかの詩
妊婦に出産予定日を知らせない
老いない医師の余命宣告の死亡宣告
余命宣告に告ぐ!
余命を生きるのか?
死亡宣言に告げよ!
死亡日まで生き抜くのか?
出産予定日に告いだ!
予定日前の君は一体何者なのか?
1、出産は予定、死亡は余命宣告の
矛盾に叫ぶ詩
2、出産予定日ならば余命宣告ではなく
死亡予定日であるという詩
3、神しか宣告し得ないという
詩のようなもの
4、出産予定日前の赤子には何故
余命宣告の死亡予定日がないのかの詩
詩#211 受け止める
#211 受け止める
受け止めた車
六角の雪結晶は
フロントガラスに貼りつき
身は直ぐに崩れ溶け
流れはじめる
ぼやける視界に戸惑う指先は
躊躇なく
甚振る感情に酔いしれる
作動させた左右に振られるワイパー
妥協しない水滴の払拭
ゴムの鬼畜
鳴き砂の共振共鳴
指鳴らしの合図
飛び込む女を受け止めた血生臭さは
オイルのように交換できず
ひたすら黒いまま
破滅の最後に向けて召喚された
強いブレーキ音は幻聴の残響
息は止めたんじゃないの
殺すために呼吸をするもの
潰された心臓に
生き抜いてる脳が
「ほら、大丈夫よ」
覚醒したまま感じてる
受け止めた車
六角の雪結晶は
フロントガラスに貼りつき
身は直ぐに崩れ溶け
流れはじめる
ぼやける視界に戸惑う指先は
躊躇なく
甚振る感情に酔いしれる
作動させた左右に振られるワイパー
妥協しない水滴の払拭
ゴムの鬼畜
鳴き砂の共振共鳴
指鳴らしの合図
飛び込む女を受け止めた血生臭さは
オイルのように交換できず
ひたすら黒いまま
破滅の最後に向けて召喚された
強いブレーキ音は幻聴の残響
息は止めたんじゃないの
殺すために呼吸をするもの
潰された心臓に
生き抜いてる脳が
「ほら、大丈夫よ」
覚醒したまま感じてる
詩#210 肩入れ奉公
#210 肩入れ奉公
若気の至る
三年経っても実を付けぬ桃に
林檎の入れ知恵
処理される性の
肩入れ奉公は
観賞物に成りすました姫林檎
静寂のすました華頭窓に
糸に結わかれた
小指が小枝を摘むと
たわわな実の
ひとつだけが残され
はぐれた孤独症に犯された
女主人の剪定が
少女をはだく
頷いた枝なる歪に
吊るされたまま皮を剥き
垂れる果汁の
舌鼓を打てば
下から甘嚙みの咥え
穴掘る落ち葉を投げ入れた
オートクチュールの
ふわつく腐葉土
身投げの肉体労働
腐乱する願掛け
群がる蟲の
腐らせぬ性欲を掻き立て
防腐剤手にした主人の罰に
あべこべの花腐病
腐れぬ花の欲しがり
若気の至る
三年経っても実を付けぬ桃に
林檎の入れ知恵
処理される性の
肩入れ奉公は
観賞物に成りすました姫林檎
静寂のすました華頭窓に
糸に結わかれた
小指が小枝を摘むと
たわわな実の
ひとつだけが残され
はぐれた孤独症に犯された
女主人の剪定が
少女をはだく
頷いた枝なる歪に
吊るされたまま皮を剥き
垂れる果汁の
舌鼓を打てば
下から甘嚙みの咥え
穴掘る落ち葉を投げ入れた
オートクチュールの
ふわつく腐葉土
身投げの肉体労働
腐乱する願掛け
群がる蟲の
腐らせぬ性欲を掻き立て
防腐剤手にした主人の罰に
あべこべの花腐病
腐れぬ花の欲しがり
詩#208 リュート
#208 リュート
リュート弾きの
死んだ組み足は固く
縛られた靴紐は
生きながらえ
靴底に湿る赤革が艶めき
踵の蹄鉄に汚された擦り傷は
棺桶にふざけて入った肉親であって
真に受けた赤ん坊の火付け役
奏でる時は
「約束して。火種は弦の数だけ」
いくつもの
回らない火に増殖させた弦は
震える弦に打たれた青年の妖
凍える寒さの
精液に濡らした
マッチの薬頭が
燃え盛る棺桶に安堵を浮かべ
女の太股にうずくまる
掃き出されたリュートの燃えかす
リュート弾きの
死んだ組み足は固く
縛られた靴紐は
生きながらえ
靴底に湿る赤革が艶めき
踵の蹄鉄に汚された擦り傷は
棺桶にふざけて入った肉親であって
真に受けた赤ん坊の火付け役
奏でる時は
「約束して。火種は弦の数だけ」
いくつもの
回らない火に増殖させた弦は
震える弦に打たれた青年の妖
凍える寒さの
精液に濡らした
マッチの薬頭が
燃え盛る棺桶に安堵を浮かべ
女の太股にうずくまる
掃き出されたリュートの燃えかす
2016年6月16日木曜日
詩#203 ヒトデ
#203 ヒトデ
鳥の剥製を青空に飛ばし
干からびたウミウシと
乾燥機にかけた子供の右手を
海に突き飛ばした
どうか
「人手に渡るヒトデに間違われますように」
両唇吸着音に
手合わせる鬼ヒトデ
楓吹雪が
海のメープルシロップに傷つき
幕間の捌けない
荒波の欲情
海月の突き出した
自慰の楓狩り
右手の
右肩に乗る
右手首の
巻きつく右足
右傾の風見鶏が
教会のステンドグラスを砕いた
右利きの強姦
烏骨鶏の右滑稽
右倣え!
ひきづり出した血反吐は
黒かったか白かったか
鳥の剥製を青空に飛ばし
干からびたウミウシと
乾燥機にかけた子供の右手を
海に突き飛ばした
どうか
「人手に渡るヒトデに間違われますように」
両唇吸着音に
手合わせる鬼ヒトデ
楓吹雪が
海のメープルシロップに傷つき
幕間の捌けない
荒波の欲情
海月の突き出した
自慰の楓狩り
右手の
右肩に乗る
右手首の
巻きつく右足
右傾の風見鶏が
教会のステンドグラスを砕いた
右利きの強姦
烏骨鶏の右滑稽
右倣え!
ひきづり出した血反吐は
黒かったか白かったか
詩#202 音楽
#202 音楽
虚像に固められた
硬いシャボン玉を
ジャズピアノが吹き
折り目をつけた
潰れない泡を
クラリネットが飛ばす
泥酔した音を連れ歩く
リュート弾きの
死んだ組み足は固く
縛られた靴紐は
生きながらえた
靴底に湿る赤革の艶めき
踵の蹄鉄に汚された擦り傷は
棺桶にふざけて入った
肉親であって
真に受けた赤ん坊の火付け役
演奏者の音編みは
曲目のアンコールに
縮んだセーターの縮みを羽織る
男を待つ女の待たされない男
奏でる時は
「約束して。火種は弦の数だけ」
いくつもの
回らない火に増殖させた弦は
震える弦に打たれた
青年の妖
凍える寒さの
精液に濡らしたマッチの薬頭が
燃え盛る棺桶に安堵を浮かべ
女の太股にうずくまる
リュートの燃えかす
刺激を求めすぎた伴奏は
角を鋭角的に折り込む
憎しむ折り鶴を折る折り紙の折り合い
手相の手に沿う性欲の筋
虚像に固められた
硬いシャボン玉を
ジャズピアノが吹き
折り目をつけた
潰れない泡を
クラリネットが飛ばす
泥酔した音を連れ歩く
リュート弾きの
死んだ組み足は固く
縛られた靴紐は
生きながらえた
靴底に湿る赤革の艶めき
踵の蹄鉄に汚された擦り傷は
棺桶にふざけて入った
肉親であって
真に受けた赤ん坊の火付け役
演奏者の音編みは
曲目のアンコールに
縮んだセーターの縮みを羽織る
男を待つ女の待たされない男
奏でる時は
「約束して。火種は弦の数だけ」
いくつもの
回らない火に増殖させた弦は
震える弦に打たれた
青年の妖
凍える寒さの
精液に濡らしたマッチの薬頭が
燃え盛る棺桶に安堵を浮かべ
女の太股にうずくまる
リュートの燃えかす
刺激を求めすぎた伴奏は
角を鋭角的に折り込む
憎しむ折り鶴を折る折り紙の折り合い
手相の手に沿う性欲の筋
詩#200 映画館
#200 映画館
詩を喰い荒らし
自身を映画館とする
35㎜フィルムの不自然な
ピンカールの輪にくぐる
口紅塗られた指先
僕だけ観客席二階のその間
雨降るオープニング
折りたたみの長傘
クレジットの余韻
蝙蝠傘の雨合羽
始まる本編
女優の片紐は細く肩に揉まれ
首絞めの痕を残している
夢ない夢の夢心地で見る夢
クライマックス
変わらない価値の変わるフィルムに
揺れる白椿が
オペラ演じてみせた
影を捨てた男より
悲劇の女
髪「が」伸びる事を捨て
爪「も」伸びる事を棄て
体「 」穢れた事を帳消しに
時価の定まらぬ演者の弱み
椿油に溶いた紅
赤椿に塗り替える
観客席に花吹雪は降りません
落ちるだけです
詩を喰い荒らし
自身を映画館とする
35㎜フィルムの不自然な
ピンカールの輪にくぐる
口紅塗られた指先
僕だけ観客席二階のその間
雨降るオープニング
折りたたみの長傘
クレジットの余韻
蝙蝠傘の雨合羽
始まる本編
女優の片紐は細く肩に揉まれ
首絞めの痕を残している
夢ない夢の夢心地で見る夢
クライマックス
変わらない価値の変わるフィルムに
揺れる白椿が
オペラ演じてみせた
影を捨てた男より
悲劇の女
髪「が」伸びる事を捨て
爪「も」伸びる事を棄て
体「 」穢れた事を帳消しに
時価の定まらぬ演者の弱み
椿油に溶いた紅
赤椿に塗り替える
観客席に花吹雪は降りません
落ちるだけです
詩#197 新時代
#197 新時代
膣に押し込められる
角度を違えた生理用品の違和感
哺乳類が卵を産み落とす
隠し通された
自然淘汰の罪悪感は
進化新人類の
射られた野性であって
病みつく
千枚通しのいびりに浮つく
千枚漬けの漂白された潔癖と
同じこと
猛暑の夏のアスファルトに焼きつく
干からびた
家変えのヤドカリは
能面がぶったオウム貝の螺旋
愛人の色で染まったまま
息絶えたカメレオン
膣に押し込められる
角度を違えた生理用品の違和感
哺乳類が卵を産み落とす
隠し通された
自然淘汰の罪悪感は
進化新人類の
射られた野性であって
病みつく
千枚通しのいびりに浮つく
千枚漬けの漂白された潔癖と
同じこと
猛暑の夏のアスファルトに焼きつく
干からびた
家変えのヤドカリは
能面がぶったオウム貝の螺旋
愛人の色で染まったまま
息絶えたカメレオン
2016年6月15日水曜日
詩#195 口移し
#195 口移し
斬り込んだ生花に
活けられた
カサついたドライフラワー
花輪の過去に
靴底を履き替えた
ディスカウントの体売り
駐車違反の白線
隠語の売春模様が描かれ
垂れ込む隠密番号には
当て字がよく似合った
オイル漬けの青林檎が
待ち伏せの毒を回し
置き去りにされた
白いマスクの
吐いたため息は
青魚の皮剥ぎ
万有引力に逆らう
毒づく赤林檎
齧った欠片に
剥き出す芯の罰
罪の女陰に触れ
蒸発させぬとしがみつき
枯れぬ花の
肥大する春
剥がした太陽に
泡をこすりつけた
口移しの色情霊
斬り込んだ生花に
活けられた
カサついたドライフラワー
花輪の過去に
靴底を履き替えた
ディスカウントの体売り
駐車違反の白線
隠語の売春模様が描かれ
垂れ込む隠密番号には
当て字がよく似合った
オイル漬けの青林檎が
待ち伏せの毒を回し
置き去りにされた
白いマスクの
吐いたため息は
青魚の皮剥ぎ
万有引力に逆らう
毒づく赤林檎
齧った欠片に
剥き出す芯の罰
罪の女陰に触れ
蒸発させぬとしがみつき
枯れぬ花の
肥大する春
剥がした太陽に
泡をこすりつけた
口移しの色情霊
2016年6月14日火曜日
詩#194 スタッドレス
#194 スタッドレス
千羽鶴を折る
子供の手に黒い折り紙
吊るされた飛び立つ鶴に
投げ込まれる三角形の紙吹雪は
人皮を貼り付けたパトカーの
子供傘をさしていた
頭だけの大人に
補助輪のスタッドレスが
いくども引き逃げる確信犯の卑猥
轢き殺した右傾のサイドミラーに
オッドアイのアップライトが
潜り込む夕暮れ
悲しむ夕焼けの歌に
悲しまない悲しみ
千羽鶴を折る
子供の手に黒い折り紙
吊るされた飛び立つ鶴に
投げ込まれる三角形の紙吹雪は
人皮を貼り付けたパトカーの
子供傘をさしていた
頭だけの大人に
補助輪のスタッドレスが
いくども引き逃げる確信犯の卑猥
轢き殺した右傾のサイドミラーに
オッドアイのアップライトが
潜り込む夕暮れ
悲しむ夕焼けの歌に
悲しまない悲しみ
詩#192 檸檬色
#192 檸檬色
目の見えすぎる奴に
美艶の殺人鬼をあてがい
鼻が利く奴に
女盗賊を抱かせた
肉欲で縛る銀の匙は
爪伸びるサイクル早めた人猫
もいだ青柿
開いた手中に
腐乱の桃肉を握り
飢渇漏れ出させる
柿渋含ませた絵筆に
困窮の画家が撓み
着飾る裸婦
噛み砕いた桃の種に
拾い上げた
レモンの酸っぱさ
振り向いた鏡面は横座り
手繰り寄せた角瓶は
焦燥感で溢れかえり
ラムネを削るように
錠剤を削る
無意味な理性に
脅かされる
焼べた永代の花に
檸檬の木が植えられ
痛がりの陶酔を念じ
フォークを突き立てた
レモンの穴に
蝶の口吻する口唇が勃つ
パレットに出された色に
色はない
目の見えすぎる奴に
美艶の殺人鬼をあてがい
鼻が利く奴に
女盗賊を抱かせた
肉欲で縛る銀の匙は
爪伸びるサイクル早めた人猫
もいだ青柿
開いた手中に
腐乱の桃肉を握り
飢渇漏れ出させる
柿渋含ませた絵筆に
困窮の画家が撓み
着飾る裸婦
噛み砕いた桃の種に
拾い上げた
レモンの酸っぱさ
振り向いた鏡面は横座り
手繰り寄せた角瓶は
焦燥感で溢れかえり
ラムネを削るように
錠剤を削る
無意味な理性に
脅かされる
焼べた永代の花に
檸檬の木が植えられ
痛がりの陶酔を念じ
フォークを突き立てた
レモンの穴に
蝶の口吻する口唇が勃つ
パレットに出された色に
色はない
詩#191 体温時計
#191 体温時計
熱病の体温を
涙で測る小道具が
銀のパレッドの上に準備される
射抜く目に垂らす
形状涙型目薬の流行
落涙で剥がした太陽に
白装束の月光が奏でる
陶酔させない罰に
痛がる欄間の情景
僕の立ち入れない叫びが
蜘蛛の巣へ潮を吹かせ
居合わせる
背中合わせの鏡台に
女主人の仮面が研がれている
鏡に向かった素顔の
自然毒の落ちぬ化粧に
笑うため息がこぼれ
厚塗りする
なりすましの化粧を施した
犯人の男だけに見える女
口に挟み込まれた
白ティッシュの白染みと
白い言葉の羅列に
エロチズムにこすり合わせの貝が
赤い紅筆を読み解いた毒を
中和させていく
素顔の女は媚びずに
艶やかな唇
熱病の体温を
涙で測る小道具が
銀のパレッドの上に準備される
射抜く目に垂らす
形状涙型目薬の流行
落涙で剥がした太陽に
白装束の月光が奏でる
陶酔させない罰に
痛がる欄間の情景
僕の立ち入れない叫びが
蜘蛛の巣へ潮を吹かせ
居合わせる
背中合わせの鏡台に
女主人の仮面が研がれている
鏡に向かった素顔の
自然毒の落ちぬ化粧に
笑うため息がこぼれ
厚塗りする
なりすましの化粧を施した
犯人の男だけに見える女
口に挟み込まれた
白ティッシュの白染みと
白い言葉の羅列に
エロチズムにこすり合わせの貝が
赤い紅筆を読み解いた毒を
中和させていく
素顔の女は媚びずに
艶やかな唇
詩#190 イカれた人
#190 イカれた人
第一ボタンを外した
金魚の尾ひれ
違えた第二ボタン
カフスが留まり
別宅に住みついた
イカれたピアノ弾き
調律のとれない音階に
そぐわぬ糸を結んでみせ
蝋燭の絞り出す
熱舌の滴
黒鍵叩く赤蝋の施し
ふしだらに踊る
快感の吹き溜まり
第一ボタンを外した
金魚の尾ひれ
違えた第二ボタン
カフスが留まり
別宅に住みついた
イカれたピアノ弾き
調律のとれない音階に
そぐわぬ糸を結んでみせ
蝋燭の絞り出す
熱舌の滴
黒鍵叩く赤蝋の施し
ふしだらに踊る
快感の吹き溜まり
2016年6月13日月曜日
詩#193 椅子
#193 椅子
白壁見上げて映る
梯子階段を登る人影
それはペンキ塗りの男に
間違いなかったけれども
梯子を倒す余力は
もう残されていない
零れたペンキの垂れが
匂立つ花弁を催して
掬われた揚羽蝶は
とっさに梯子を塗り消し
肉づきの溢れたペンキに
飛び降り自殺の
赤い人型をなぞった
美しき人型の肉体美は
鮮烈に性器を痛めつけ
劇場型犯罪の観劇した
舞台の喝采の中
悪い子の椅子は
座り続ける僕を
誑かし続け
口寄せする
純白のペンキが招く
「登る梯子を外しましょうか?
登った梯子を外しましょうか?」
白壁見上げて映る
梯子階段を登る人影
それはペンキ塗りの男に
間違いなかったけれども
梯子を倒す余力は
もう残されていない
零れたペンキの垂れが
匂立つ花弁を催して
掬われた揚羽蝶は
とっさに梯子を塗り消し
肉づきの溢れたペンキに
飛び降り自殺の
赤い人型をなぞった
美しき人型の肉体美は
鮮烈に性器を痛めつけ
劇場型犯罪の観劇した
舞台の喝采の中
悪い子の椅子は
座り続ける僕を
誑かし続け
口寄せする
純白のペンキが招く
「登る梯子を外しましょうか?
登った梯子を外しましょうか?」
詩#177 教科書
#177 教科書
学制帽の指導に
セーラー服の指南書
教壇によじ登り
胸を刺したペン先に
理性の綻び
襟を正したシャツに
Vネックの三角が尖り
背負わされた本棚
エロティズムの日の丸
音楽室に吠えつく軍歌
鼻歌EM(*イーマイナー)
哀愁に染まる
露骨な過去に
軍服の狂い
猫の吐き出す
毛玉の教科書
卑猥が平和の尊厳
コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ
ア・ブ・ナ・イ。
コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ
学制帽の指導に
セーラー服の指南書
教壇によじ登り
胸を刺したペン先に
理性の綻び
襟を正したシャツに
Vネックの三角が尖り
背負わされた本棚
エロティズムの日の丸
音楽室に吠えつく軍歌
鼻歌EM(*イーマイナー)
哀愁に染まる
露骨な過去に
軍服の狂い
猫の吐き出す
毛玉の教科書
卑猥が平和の尊厳
コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ
ア・ブ・ナ・イ。
コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ・コトバヲヨミクダケ
詩#178 宮廷料理
#178 宮廷料理
乾煎りされた憎しみ
沸点に立ち昇る
金継ぎされた
グロテスクな宮廷料理
回転テーブルの浮き彫り
花魁の余情
女絵付けしの曲がり指に
動物の快感
節打つ淫らな吟唱
変体した肉体の抑圧
揺さぶられる肉欲
求める褒美に
喰い込む赤縄
曝け出す恥部
花びら餅の吐息
のたうつ苦痛
吸い出される餡
抱きつく善がり声に
絶頂の快楽
腕利きの和菓子職人
こねる猫手の覗き見
乾煎りされた憎しみ
沸点に立ち昇る
金継ぎされた
グロテスクな宮廷料理
回転テーブルの浮き彫り
花魁の余情
女絵付けしの曲がり指に
動物の快感
節打つ淫らな吟唱
変体した肉体の抑圧
揺さぶられる肉欲
求める褒美に
喰い込む赤縄
曝け出す恥部
花びら餅の吐息
のたうつ苦痛
吸い出される餡
抱きつく善がり声に
絶頂の快楽
腕利きの和菓子職人
こねる猫手の覗き見
2016年6月12日日曜日
詩#179 桃の節句
#179 桃の節句
蜻蛉の目を回す女の指に
異国の顔した
母国語のしゃべれぬ女
節句の白酒
のされた菱餅
人形遣いの人形
着飾る女雛の十二単
潜り込んだ襦袢に
花の手ぐすね
上座への水流れ
水車に紡がせた糸
桃の糸車に挽く聖水
扇で隠した口元に
女郎蜘蛛の噛み跡
蜻蛉の目を回す女の指に
異国の顔した
母国語のしゃべれぬ女
節句の白酒
のされた菱餅
人形遣いの人形
着飾る女雛の十二単
潜り込んだ襦袢に
花の手ぐすね
上座への水流れ
水車に紡がせた糸
桃の糸車に挽く聖水
扇で隠した口元に
女郎蜘蛛の噛み跡
#178 宮廷料理
#178 宮廷料理
乾煎りされた憎しみ
沸点に立ち昇る
金継ぎされた
グロテスクな宮廷料理
回転テーブルの浮き彫り
花魁の余情
女絵付けしの曲がり指に
動物の快感
節打つ淫らな吟唱
変体した肉体の抑圧
揺さぶられる肉欲
求める褒美に
喰い込む赤縄
曝け出す恥部
花びら餅の吐息
のたうつ苦痛
吸い出される餡
抱きつく善がり声に
絶頂の快楽
腕利きの和菓子職人
こねる猫手の覗き見
乾煎りされた憎しみ
沸点に立ち昇る
金継ぎされた
グロテスクな宮廷料理
回転テーブルの浮き彫り
花魁の余情
女絵付けしの曲がり指に
動物の快感
節打つ淫らな吟唱
変体した肉体の抑圧
揺さぶられる肉欲
求める褒美に
喰い込む赤縄
曝け出す恥部
花びら餅の吐息
のたうつ苦痛
吸い出される餡
抱きつく善がり声に
絶頂の快楽
腕利きの和菓子職人
こねる猫手の覗き見
2016年6月11日土曜日
詩#174 吸い寄せ
#174 吸い寄せ
猫の爪にぶら下がった
一輪挿しに
ふたつの下口花
防火水槽の掬われた金魚
熱病の狂人が震わせ
坪庭の額縁
尾鰭を凍らせた
囲われた目隠しの少女
ひっくり返った
色めき立つ御椀
くしゃみにはだかれ
抜かれた二股の尾鰭
パクつく口に
吸い寄せた愛
猫の爪にぶら下がった
一輪挿しに
ふたつの下口花
防火水槽の掬われた金魚
熱病の狂人が震わせ
坪庭の額縁
尾鰭を凍らせた
囲われた目隠しの少女
ひっくり返った
色めき立つ御椀
くしゃみにはだかれ
抜かれた二股の尾鰭
パクつく口に
吸い寄せた愛
詩#172 エロチズム
#172 エロチズム
片足のない猿に
与えた尻尾
主人が描く
ボタニカルアートは
咲き乱れる鬱の花
エロチズムに描かれた
点線の女
しなる鞭の捕食
雄しべを焼いた炎の封蝋
背中のタトゥーに
重ねられた烙印
まとわりついた猫毛に
笑う赤い口元の女
尻尾を得た人間
跪いて許しを請う
片足のない猿に
与えた尻尾
主人が描く
ボタニカルアートは
咲き乱れる鬱の花
エロチズムに描かれた
点線の女
しなる鞭の捕食
雄しべを焼いた炎の封蝋
背中のタトゥーに
重ねられた烙印
まとわりついた猫毛に
笑う赤い口元の女
尻尾を得た人間
跪いて許しを請う
詩#171 かまいたち
#171 かまいたち
薄削りした時代を笑う
アンティークの怯え
自由を奪う女主人の指に
恥打つ時報の振り子
時を止めた
過去の手紙の切り口
かまいたちとなって
主人に従え
染み付きの懺悔
嬲られる閃光の悦を
解き放つ
薄削りした時代を笑う
アンティークの怯え
自由を奪う女主人の指に
恥打つ時報の振り子
時を止めた
過去の手紙の切り口
かまいたちとなって
主人に従え
染み付きの懺悔
嬲られる閃光の悦を
解き放つ
詩#160 変態の聖域
#160 変態の聖域
水垢に汚れた鏡
鱗巻き込み
水滴を重い雫に変えて
梳かす黒髪
逃げ場を失った
欲情の熟れ割れ
羞恥心の落とし子
調教に片鱗を示せば
変態の聖域
放物線を描く円錐の
しなる鞭の頂点に座る
水垢に汚れた鏡
鱗巻き込み
水滴を重い雫に変えて
梳かす黒髪
逃げ場を失った
欲情の熟れ割れ
羞恥心の落とし子
調教に片鱗を示せば
変態の聖域
放物線を描く円錐の
しなる鞭の頂点に座る
2016年6月10日金曜日
詩#158 ウイスキー
#158 ウイスキー
ウイスキーを吸わせた紙吹雪
六角グラスに注がれた
琥珀の氷に降り積もり
行くあてのない
パクつく金魚の餌となる
傾けられたグラス
指輪を外した
女の長い指
長い尾ひれに
契りの穴開け
置かれたグラスに残された
真っ赤な一鱗
グラスを磨く
女バーテンダーの下唇を切る
ウイスキーを吸わせた紙吹雪
六角グラスに注がれた
琥珀の氷に降り積もり
行くあてのない
パクつく金魚の餌となる
傾けられたグラス
指輪を外した
女の長い指
長い尾ひれに
契りの穴開け
置かれたグラスに残された
真っ赤な一鱗
グラスを磨く
女バーテンダーの下唇を切る
詩#154 マニキュア
#154 マニキュア
マニキュアに溺れた
あなたの爪の鋲留めに
交尾体位に固まる服従
悶える女芯の漏れ
踏みつけるペティキュアの底鋲
台座に置かれた亀裂の切り爪
耳打ちの辱めに
強請る言葉の
晒した女陰
剥き出しにされた
恥の快楽に沈む
マニキュアに溺れた
あなたの爪の鋲留めに
交尾体位に固まる服従
悶える女芯の漏れ
踏みつけるペティキュアの底鋲
台座に置かれた亀裂の切り爪
耳打ちの辱めに
強請る言葉の
晒した女陰
剥き出しにされた
恥の快楽に沈む
詩#149 カタツムリ
#149 カタツムリ
高層ビルの
陽あたる窓に灯る夜窓
真昼を縦に断ち
見えた情婦の女陰
結露の窓に
殻を剥がしたカタツムリ
愛の迸りの白濁
昇り上げた太陽
すり潰された螺旋に狂い
指先に触れた粉の道標に導かれた
剥き身の姿
白煙にくすぶり
ザラつきの責め立て
喘ぐ女の螺旋階段
天窓の月光に
服従の奉仕
高層ビルの
陽あたる窓に灯る夜窓
真昼を縦に断ち
見えた情婦の女陰
結露の窓に
殻を剥がしたカタツムリ
愛の迸りの白濁
昇り上げた太陽
すり潰された螺旋に狂い
指先に触れた粉の道標に導かれた
剥き身の姿
白煙にくすぶり
ザラつきの責め立て
喘ぐ女の螺旋階段
天窓の月光に
服従の奉仕
2016年6月9日木曜日
詩#139 見えたのは
#139 見えたのは
集合体の活性
「社会の自由は同調の統率から!」
ドッド絵の自画像
迷走する走行車線と追越し車線
社会の自由へのピクセルも踏めず
朝日に撃ち落とされ
追越し車線、走行車線、登板車線
日よけの目隠し
後光の夕日の後押し
車線に斜線を選び
僕は路肩を走りきる
はっきり見えたのは
瞳孔開いた太陽
集合体の活性
「社会の自由は同調の統率から!」
ドッド絵の自画像
迷走する走行車線と追越し車線
社会の自由へのピクセルも踏めず
朝日に撃ち落とされ
追越し車線、走行車線、登板車線
日よけの目隠し
後光の夕日の後押し
車線に斜線を選び
僕は路肩を走りきる
はっきり見えたのは
瞳孔開いた太陽
詩#138 俯いたハンドベル
#138 俯いたハンドベル
振り下ろされた
ハンドベル
無音の振動
扇状に広がった波紋
僕の託した俯きのベル
弄られ蓄熱した一点に向け
引き襲い
あぶり出しの楽譜
あなたの秘音
浮かばせて
蝋に溶かし
奏でて見せる
振り下ろされた
ハンドベル
無音の振動
扇状に広がった波紋
僕の託した俯きのベル
弄られ蓄熱した一点に向け
引き襲い
あぶり出しの楽譜
あなたの秘音
浮かばせて
蝋に溶かし
奏でて見せる
詩#135 死人の観劇感想 文
#135 死人の観劇感想 文
自由な虚像舞台劇
完璧な自由の同調統率
ぶっ飛び立つ言葉遊び
演者が自由を掲げ
表現自由四隅の壁を
同一の台詞で貶める
左右対象の不備音無
気化熱の二階席
かさぶたの双眼鏡
ふしだらなうちでのこづち
フレーフレーフレー!
見下げてふりおろせ
全てに吸い付いた
唯一の自由
蹴落とされた
美しい紙吹雪
左の凸の瞼
血のりで張り付き
右の凹の性器
ビスで押し殺す
白く汚れた黒い紙吹雪
寝たきり僕の凹凸欲情
堆積しては隠す
あなたの口づけに授けられた
死人にくちなしの花
自由な虚像舞台劇
完璧な自由の同調統率
ぶっ飛び立つ言葉遊び
演者が自由を掲げ
表現自由四隅の壁を
同一の台詞で貶める
左右対象の不備音無
気化熱の二階席
かさぶたの双眼鏡
ふしだらなうちでのこづち
フレーフレーフレー!
見下げてふりおろせ
全てに吸い付いた
唯一の自由
蹴落とされた
美しい紙吹雪
左の凸の瞼
血のりで張り付き
右の凹の性器
ビスで押し殺す
白く汚れた黒い紙吹雪
寝たきり僕の凹凸欲情
堆積しては隠す
あなたの口づけに授けられた
死人にくちなしの花
詩#121 スーパー
#121 スーパー
死んだばかりの新鮮さ
パック詰めされた
動かぬ魚の黒目
死肉のレシピに合わせ
ぶった切られた部位の
舌舐めずりする高等級
死体の価値に金を払い
安置所スーパー
のらりと出る
腐らぬよう
詰め込まれた冷蔵庫
遺体を取り出し
ぶつ切りにして
スーパーに行く
返品に
死んだばかりの新鮮さ
パック詰めされた
動かぬ魚の黒目
死肉のレシピに合わせ
ぶった切られた部位の
舌舐めずりする高等級
死体の価値に金を払い
安置所スーパー
のらりと出る
腐らぬよう
詰め込まれた冷蔵庫
遺体を取り出し
ぶつ切りにして
スーパーに行く
返品に
詩#117 愛する女
#117 愛する女
あなたを剥がした薄皮に
擦り付けた性器の拓本
海の引力に紫を沈め
拓を取る指に
星のしけもく
はにかむ処女膜の縫い目に
男は金を出す
僕の描いた絵本
膝を立て椅子に座る裸婦に
男はいなかった
全ては女の太腿への朗読が
霖雨の塵へと昇華して
下半身から降り積もる
最初の女より
最後の女でありたいと
念仏を突き上げた箱に頭を差し込んで
細く細かい糸を伸ばし
余った精子をかき集める
そしていつかの
猫の毛玉を飲み込んでやる
わたしが殺したのはあなたじゃない
自分の声帯を殺したの
ごめんないさい。
声だけは騙せなかった
誰かの 誰かからの
供え物を咥えて舐めた
目の奥まで
焼けただれてしまうような
羽布団のカラスの羽だけを
ベランダから自殺させてやる
幻聴に耳を研ぎ澄まし
悲しませた分だけ
あなたを剥がした薄皮に
擦り付けた性器の拓本
海の引力に紫を沈め
拓を取る指に
星のしけもく
はにかむ処女膜の縫い目に
男は金を出す
僕の描いた絵本
膝を立て椅子に座る裸婦に
男はいなかった
全ては女の太腿への朗読が
霖雨の塵へと昇華して
下半身から降り積もる
最初の女より
最後の女でありたいと
念仏を突き上げた箱に頭を差し込んで
細く細かい糸を伸ばし
余った精子をかき集める
そしていつかの
猫の毛玉を飲み込んでやる
わたしが殺したのはあなたじゃない
自分の声帯を殺したの
ごめんないさい。
声だけは騙せなかった
誰かの 誰かからの
供え物を咥えて舐めた
目の奥まで
焼けただれてしまうような
羽布団のカラスの羽だけを
ベランダから自殺させてやる
幻聴に耳を研ぎ澄まし
悲しませた分だけ
詩#115 和洋の女
#115 和洋の女
レースの穴に差し込まれる
赤い折り鶴のクチバシ
鍵棒がしゃくる
赤い仕打ちの伊達襟
和洋の織りなしは
水指しの容赦ない手綱に
青磁の撫でる釉薬
白目のない網目の女
甘噛みする変わり種の僕に
口を汚して悦ぶ
レースの穴に差し込まれる
赤い折り鶴のクチバシ
鍵棒がしゃくる
赤い仕打ちの伊達襟
和洋の織りなしは
水指しの容赦ない手綱に
青磁の撫でる釉薬
白目のない網目の女
甘噛みする変わり種の僕に
口を汚して悦ぶ
詩#107 寄せ植え
#107 寄せ植え
寄せ植えされた
しゃべらぬ花の
残酷な花言葉
餌をあげられぬ
秀でた花弁に
ぬらゆらと抜かれた生物が
爪の間に挟まれた淫欲と
羽の結合を緩む性癖
肢体の泡吹く性
落ちた花びら
眠る生物勃たせ
癒し 弔う
寄せ植えされた
しゃべらぬ花の
残酷な花言葉
餌をあげられぬ
秀でた花弁に
ぬらゆらと抜かれた生物が
爪の間に挟まれた淫欲と
羽の結合を緩む性癖
肢体の泡吹く性
落ちた花びら
眠る生物勃たせ
癒し 弔う
詩#104 光の椅子
#104 光の椅子
荒々しい息継ぎの膨張に
立て掛けられた光の椅子
打ちひしぐ声音が飛び乗り
喚いて
乳房を掴む
僕をさすり
知らぬハレー彗星の
尾鰭をしゃぶらせ
艶やかになだめる
椅子に色も影も形もない
透明な姿があるだけ
荒々しい息継ぎの膨張に
立て掛けられた光の椅子
打ちひしぐ声音が飛び乗り
喚いて
乳房を掴む
僕をさすり
知らぬハレー彗星の
尾鰭をしゃぶらせ
艶やかになだめる
椅子に色も影も形もない
透明な姿があるだけ
2016年6月8日水曜日
2016年6月7日火曜日
詩#84 二極性の苦しみ
#84 二極性の苦しみ
吊るされた目
誰にも知られていない
犯された中に
隠し続けてる
溶かされたマニキュア
抑えられない激しい衝動
イカれた素質
あなただけが見抜く
戻れない社会に
怒りの根源
平然と居座り立ち回ってみせる
愛憎の力
説明のつかない僕はたちんぼしている
吊るされた目
誰にも知られていない
犯された中に
隠し続けてる
溶かされたマニキュア
抑えられない激しい衝動
イカれた素質
あなただけが見抜く
戻れない社会に
怒りの根源
平然と居座り立ち回ってみせる
愛憎の力
説明のつかない僕はたちんぼしている
2016年6月6日月曜日
詩#80 かぞえうた
#80 かぞえうた
契られた五つの花弁の
笑われたかぞえうたに
晒された ひとひら
流れ落とした愛液に
愛憎の上澄みを掬い
飛ばぬ花粉に
汚された ふたひら
真っ赤なルージュに
咥えられた
花脈の鼓動が
激しく波打つ みひら
擦れ合う輪郭に
悦びの深紅が溶ければ
抱き込む慈愛の
痛む よひら
遊ばせてと
刺された棘に
ゆれる指先が触れた
最後の 花びら
契られた五つの花弁の
笑われたかぞえうたに
晒された ひとひら
流れ落とした愛液に
愛憎の上澄みを掬い
飛ばぬ花粉に
汚された ふたひら
真っ赤なルージュに
咥えられた
花脈の鼓動が
激しく波打つ みひら
擦れ合う輪郭に
悦びの深紅が溶ければ
抱き込む慈愛の
痛む よひら
遊ばせてと
刺された棘に
ゆれる指先が触れた
最後の 花びら
詩#77 砕かれた鏡
#77 砕かれた鏡
あなたに投げつけた
砕いた鏡が
僕が知り求めた
あなたを映し
あなたの殺せない
青春の時の欠片を
血だらけの手で拾い上げる
流れ動く笑顔の中に
僕の愛は届かず
苦しみの涙が伝うだけ
寂寞の吐息で曇った
鏡面だけが
見尽くしたいと願う
うずくまった僕に
休息を与える
あなたに投げつけた
砕いた鏡が
僕が知り求めた
あなたを映し
あなたの殺せない
青春の時の欠片を
血だらけの手で拾い上げる
流れ動く笑顔の中に
僕の愛は届かず
苦しみの涙が伝うだけ
寂寞の吐息で曇った
鏡面だけが
見尽くしたいと願う
うずくまった僕に
休息を与える
詩#73 間の人体図
#73 間の人体図
突き上げた
内緒のことがらに
色の薄いサングラスの目が笑う
置き去りにされた
性癖を憂えて
握りしめた淫靡なペン先
皮膚に埋め込み
体内に溶かす
強弱の不規則なリズムの収縮
猛け合う
喜びの秩序
突き抜ける
痛み分けの韻律
間の人体
逃げ出す肉体に
しがみつく精神
食虫植物の穴に落とされ
蟻地獄に身を投げる
突き上げた
内緒のことがらに
色の薄いサングラスの目が笑う
置き去りにされた
性癖を憂えて
握りしめた淫靡なペン先
皮膚に埋め込み
体内に溶かす
強弱の不規則なリズムの収縮
猛け合う
喜びの秩序
突き抜ける
痛み分けの韻律
間の人体
逃げ出す肉体に
しがみつく精神
食虫植物の穴に落とされ
蟻地獄に身を投げる
2016年6月5日日曜日
詩#63 自然と人工物
#63 自然と人工物
人口の森
息絶えた野生動物の屍体が
スプリンクラーの水に
舌を垂らして腐っていく
やがて残された
濡れた毛皮に蟻が 這い
自然と人工物の間の女
毛皮を身にまとう
女は何者であるか
人口の森
息絶えた野生動物の屍体が
スプリンクラーの水に
舌を垂らして腐っていく
やがて残された
濡れた毛皮に蟻が 這い
自然と人工物の間の女
毛皮を身にまとう
女は何者であるか
詩#54 浮き草のしわざ
#54 浮き草のしわざ
しゃがんだ少女の
汚した水槽
浮かべられた
邪悪な浮き草
鮮やかに緑を放ち
厭らしく伸ばした下根
沈められた
裸体の女にしがみつき
緊縛痕這う
さくら貝の舌
女を痛めて穴を掘り
水を血で染め上げる
花を咲かせた浮き草
束縛の花弁が真っ赤に咲き誇る
しゃがんだ少女の
汚した水槽
浮かべられた
邪悪な浮き草
鮮やかに緑を放ち
厭らしく伸ばした下根
沈められた
裸体の女にしがみつき
緊縛痕這う
さくら貝の舌
女を痛めて穴を掘り
水を血で染め上げる
花を咲かせた浮き草
束縛の花弁が真っ赤に咲き誇る
詩#53 海水金魚
#53 海水金魚
海水の波に漂う
捕らえられた
真水の金魚鉢
ぷっくりとした肢体に
悩まし気な立ち泳ぎ
鮮やかに垂れ下がる尾ヒレは
酩酊する波の潮
侵食許せば
浸透圧の歪みに
浸潤した浮き袋
小刻みに震えた
すぼめた口に与えた
良からぬ異系の異物
吐き出さぬよう
赤黒く染まったエラを握りつぶし
呼吸を奪う
硬直した締め付けに
尾ヒレが内腿を撫で去れば
野生の鬼畜だけが
雄叫びあげる
ひっくり返った金魚鉢
無菌の淡水金魚
海の人魚へと姿を変えて
猛り立ったまま
沈みゆく性器
尾ヒレに抱き
深海へ向かう
海水の波に漂う
捕らえられた
真水の金魚鉢
ぷっくりとした肢体に
悩まし気な立ち泳ぎ
鮮やかに垂れ下がる尾ヒレは
酩酊する波の潮
侵食許せば
浸透圧の歪みに
浸潤した浮き袋
小刻みに震えた
すぼめた口に与えた
良からぬ異系の異物
吐き出さぬよう
赤黒く染まったエラを握りつぶし
呼吸を奪う
硬直した締め付けに
尾ヒレが内腿を撫で去れば
野生の鬼畜だけが
雄叫びあげる
ひっくり返った金魚鉢
無菌の淡水金魚
海の人魚へと姿を変えて
猛り立ったまま
沈みゆく性器
尾ヒレに抱き
深海へ向かう
詩#52 少女の朗読
#52 少女の朗読
朗読する少女の囀り
恍惚に聴き入っては
偉ぶるように
脳裏の活字を追っていく
迫る句読点、。
僅かな間に
研ぎ澄まされた
究極の快感が
僕を襲い
艶めかしく読み上げられた
鍵「」カッコに
僕は緊縛され
人格を変えたその声
二重鍵『』カッコ
猛り形状を変えた
隠せぬ性器に
読み終えた本の角が擦れ
本を閉じた手が…
朗読する少女の囀り
恍惚に聴き入っては
偉ぶるように
脳裏の活字を追っていく
迫る句読点、。
僅かな間に
研ぎ澄まされた
究極の快感が
僕を襲い
艶めかしく読み上げられた
鍵「」カッコに
僕は緊縛され
人格を変えたその声
二重鍵『』カッコ
猛り形状を変えた
隠せぬ性器に
読み終えた本の角が擦れ
本を閉じた手が…
詩#48 演奏者のいない楽譜
#48 演奏者のいない楽譜
僕の目から隠れるように
寂寥の玉 簾が降ろされた
悪いリズムが
滑るような
彎曲面の連なり
皮膚を叩いては弄び
妖艶な白い手が
僕の生ぬるい深くな部分を
責め立てる
絡みつくよう握られた
凍るような裁ちばさみ
珠の間の撚られた糸は
無慈悲に静刃
押し付け
熱を帯びた動刃
放たれた野生が切り落とす
無数の珠が弾け落ちれば
音符のように
地面に堕ちては
撥ね返る
焼き付けられたその楽譜
指のないピアニスト
ピアニッシモで
くちずさむ
僕の目から隠れるように
寂寥の玉 簾が降ろされた
悪いリズムが
滑るような
彎曲面の連なり
皮膚を叩いては弄び
妖艶な白い手が
僕の生ぬるい深くな部分を
責め立てる
絡みつくよう握られた
凍るような裁ちばさみ
珠の間の撚られた糸は
無慈悲に静刃
押し付け
熱を帯びた動刃
放たれた野生が切り落とす
無数の珠が弾け落ちれば
音符のように
地面に堕ちては
撥ね返る
焼き付けられたその楽譜
指のないピアニスト
ピアニッシモで
くちずさむ
詩#43 ある肉片
#43 ある肉片
盛られた肉片に
睨んで見られた
僕の見せない
ドス黒い感情の炎
焼けてるでもなく
生肉でもなく
肉の細胞が噛み潰され
残虐の記憶が脳へと伝わる
確かなこの歯触りと香り
ボクの体の一部が
敏感に反応し
溺れて泣き喚く
肉の油膜は
ボクの口の粘膜を覆って
憎しみを胎内へと押し戻し
ぬるい羊水の雨に撃たれぬよう
水玉の傘が開かれ
三日月の鋭利が
ボクの心臓を突き抜いた
母体はボクの涙を
笑って泣いた
盛られた肉片に
睨んで見られた
僕の見せない
ドス黒い感情の炎
焼けてるでもなく
生肉でもなく
肉の細胞が噛み潰され
残虐の記憶が脳へと伝わる
確かなこの歯触りと香り
ボクの体の一部が
敏感に反応し
溺れて泣き喚く
肉の油膜は
ボクの口の粘膜を覆って
憎しみを胎内へと押し戻し
ぬるい羊水の雨に撃たれぬよう
水玉の傘が開かれ
三日月の鋭利が
ボクの心臓を突き抜いた
母体はボクの涙を
笑って泣いた
詩#41 完璧な女
#41 完璧な女
色づいて膨らみ始めた
その果実
ぶら下がるその実を
口に含んで舌で転がし
確かめれば
享楽して求める
張り詰めた皮
破裂しないよう前歯で咬み付き
選ばれた証
他の実
全てをもぎ取って
地面へと叩きつけ
見せてやる
髪を撫で
「あなたは最高なの」と握らせて
目を塞いでは
「どうしたの」と欲しがらせ
手を拘束しては
「ダメよ」と与えず
口をこじ開け
「いいのよ」の甘え
全ての断絶
私に向けた愛欲だけの支配に
狂乱すれば
熟れた実
押し付ければ
自ら割れて
享受する
ドロリと溶け出し
青臭さもえぐみもさらけ出したのは
「そう、わたし…」
色づいて膨らみ始めた
その果実
ぶら下がるその実を
口に含んで舌で転がし
確かめれば
享楽して求める
張り詰めた皮
破裂しないよう前歯で咬み付き
選ばれた証
他の実
全てをもぎ取って
地面へと叩きつけ
見せてやる
髪を撫で
「あなたは最高なの」と握らせて
目を塞いでは
「どうしたの」と欲しがらせ
手を拘束しては
「ダメよ」と与えず
口をこじ開け
「いいのよ」の甘え
全ての断絶
私に向けた愛欲だけの支配に
狂乱すれば
熟れた実
押し付ければ
自ら割れて
享受する
ドロリと溶け出し
青臭さもえぐみもさらけ出したのは
「そう、わたし…」
詩#39 子供
#39 子供
(凝縮)された
腐臭の空気圧が
●))(子供の頭を押さえ続けた)
子供は低い天井の様な空気圧に
老婆のように腰を屈め
圧死を恐れ
孤独に震え
自分だけを慰める
見下ろす天井の節穴
子供に教える
「騙されるな!」
絶望的な安全装置ハズレ
操縦不能
コントロール不能
ピストル乱射
親を殺シ
学んだ爆弾
自分の頭上へ打ち上げた
初めて見上げた夜空に
降りかかる血の粉
舞い散る人体部位
欲情剥き出したまま
呆然と立ちすくむ
青い目をした
背の高い青年
裸の女が
胸に青年を抱きしめ
乳を吸わせた
「大丈夫
あなたは
まだ 赤ちゃん」
(凝縮)された
腐臭の空気圧が
●))(子供の頭を押さえ続けた)
子供は低い天井の様な空気圧に
老婆のように腰を屈め
圧死を恐れ
孤独に震え
自分だけを慰める
見下ろす天井の節穴
子供に教える
「騙されるな!」
絶望的な安全装置ハズレ
操縦不能
コントロール不能
ピストル乱射
親を殺シ
学んだ爆弾
自分の頭上へ打ち上げた
初めて見上げた夜空に
降りかかる血の粉
舞い散る人体部位
欲情剥き出したまま
呆然と立ちすくむ
青い目をした
背の高い青年
裸の女が
胸に青年を抱きしめ
乳を吸わせた
「大丈夫
あなたは
まだ 赤ちゃん」
詩#38 鍵尻尾
#38 鍵尻尾
尻から生えた鍵尻尾
引っ張るように握られて
ぶら下がる
二つの丸い実の根元
艶めく生糸
優しく躾ければ
揺れた笑顔見せつけて
喰い込むように巻きつけた
隠せぬ仙人掌
棘 握りしめ
腐り落ちた二つの実
あなたの足指転がした
女陰にあてがう棘でさえ
あなたはへし折り跪かせ
透けるような花びらに
姿を変えさせる
波打つ花脈
そっと爪立たせば
なかなか切れぬ
抵抗の葉脈が
喰ってかかる
あなたの
その
肌 指先 口が僕を喘がせ
つけられたおむつに
僕は欲望を垂れ流し
あなたの乳首に吸い付く
尻から生えた鍵尻尾
引っ張るように握られて
ぶら下がる
二つの丸い実の根元
艶めく生糸
優しく躾ければ
揺れた笑顔見せつけて
喰い込むように巻きつけた
隠せぬ仙人掌
棘 握りしめ
腐り落ちた二つの実
あなたの足指転がした
女陰にあてがう棘でさえ
あなたはへし折り跪かせ
透けるような花びらに
姿を変えさせる
波打つ花脈
そっと爪立たせば
なかなか切れぬ
抵抗の葉脈が
喰ってかかる
あなたの
その
肌 指先 口が僕を喘がせ
つけられたおむつに
僕は欲望を垂れ流し
あなたの乳首に吸い付く
2016年6月4日土曜日
詩#36 合鍵
#36 合鍵
錠前師の女肌に食い込む
いぶし銀の南京錠
あなたを壊す鍵穴に
甚振り弄ぶように
ごわつく尻尾を
撫でつけて
皮膚から切り取った南京錠
誰にも盗ませないと施錠して
鼻を鳴らさせては
甘えさせ
牙を剥かせては
服従させる
ご褒美に
自らを押し付けてきたその罰に
「ダメね」と
震える指先
「合鍵」縫い付け
赤いステッチ・赤い玉留め
余った赤糸
リードにしては
己の鍵穴へと向かわせる
深く差し込まれた合鍵
泣いたあなたに
赤い玉留めチョン切って
引き抜く赤糸
その先の
わたしの合鍵
潜らせる
叫んだあなたに
「ご褒美よ」
錠前師の女肌に食い込む
いぶし銀の南京錠
あなたを壊す鍵穴に
甚振り弄ぶように
ごわつく尻尾を
撫でつけて
皮膚から切り取った南京錠
誰にも盗ませないと施錠して
鼻を鳴らさせては
甘えさせ
牙を剥かせては
服従させる
ご褒美に
自らを押し付けてきたその罰に
「ダメね」と
震える指先
「合鍵」縫い付け
赤いステッチ・赤い玉留め
余った赤糸
リードにしては
己の鍵穴へと向かわせる
深く差し込まれた合鍵
泣いたあなたに
赤い玉留めチョン切って
引き抜く赤糸
その先の
わたしの合鍵
潜らせる
叫んだあなたに
「ご褒美よ」
詩#35 あの女
#35 あの女
青々と清楚に生きる
植物のような
「あの女」
毒をためらうのなら
海水をかけて殺してやろう
深い根に行き渡らせた
熱い潮は
僕の舌を壊し
僕を飢えさせ
僕に
一滴の真水も許してはくれない
ストレートの
長い黒髪が風のような
「その女」
恥をためらうのなら
指櫛を通して
引き抜いてやろう
根深く刺された華櫛が
僕の尖りをいじめ
僕を狂わせたのに
僕が
先に果てることを許さない
青々と清楚に生きる
植物のような
「あの女」
毒をためらうのなら
海水をかけて殺してやろう
深い根に行き渡らせた
熱い潮は
僕の舌を壊し
僕を飢えさせ
僕に
一滴の真水も許してはくれない
ストレートの
長い黒髪が風のような
「その女」
恥をためらうのなら
指櫛を通して
引き抜いてやろう
根深く刺された華櫛が
僕の尖りをいじめ
僕を狂わせたのに
僕が
先に果てることを許さない
詩#29 斜
#29 斜
人はまっすぐに立てと教え込まれた
目の前には
血の川がゆっくりと流れ
河川敷の斜面から
小さなかわいらしい花が咲いていた
花弁をまっすぐ上に向けて
船を岸壁から離すと
腐乱した臓器の
波しぶきが飛び散り
断崖絶壁の岩から
一本の樹木が生えていた
根元をぐにゃりと曲げてもなお
空に向かって
僕は斜面に立ち
被曝した遺体が
流れてくるのを見つめた
天に向かって
まっすぐ立てるよう
ぐっと腹に力を込め
歯をくいしばった
見上げた空に
目も開けられないほどの
太陽神が存在していた
70年後
斜面に立った僕が
斜に構えて見上げた空には
天照大神ではなく
太陽が輝いていた
川は淀みなく穏やかに流れ
僕は斜面の花に
そっと触れた
人はまっすぐに立てと教え込まれた
目の前には
血の川がゆっくりと流れ
河川敷の斜面から
小さなかわいらしい花が咲いていた
花弁をまっすぐ上に向けて
船を岸壁から離すと
腐乱した臓器の
波しぶきが飛び散り
断崖絶壁の岩から
一本の樹木が生えていた
根元をぐにゃりと曲げてもなお
空に向かって
僕は斜面に立ち
被曝した遺体が
流れてくるのを見つめた
天に向かって
まっすぐ立てるよう
ぐっと腹に力を込め
歯をくいしばった
見上げた空に
目も開けられないほどの
太陽神が存在していた
70年後
斜面に立った僕が
斜に構えて見上げた空には
天照大神ではなく
太陽が輝いていた
川は淀みなく穏やかに流れ
僕は斜面の花に
そっと触れた
詩#27 見えない人
#27 見えない人
葬儀帰りの老夫婦
焼香 樟脳 眩暈の匂いが
パンタグラフに取り憑いた
流れ出した恐怖は電車の中へ
先に席を譲ったのは
取り憑いた 怪
席に座ったのは
みだれた花嫁衣装
凄まじいブレーキ音に
黒いストッキングの伝線が
思い車輪へと横たわる
切り取った
少女と女の五本指
すべてのマニキュア
彩り変えて
睫毛抜き取り
縁取った赤い
瞳(アイ)Line
教戒線が
カチ鳴りはじめる
カチカチカチ
秒針が長針短針刺しとめる
カチカチカチ
鳴り止まぬ音に
奥歯は砕かれ
瞼は縫われ
子宮は腫れて
肛門はただれた
掴んだ病針
カラス狙うな!
百舌鳥を串刺せヨ!
お前こそ
早贄にふさわしい
献花の花弁
急行電車に取り憑いた五本指
四足歩行になぞらえて
線路の繋ぎ目
漏れ出す淫
合極にしがみついては
狂い叫び
エロスにひそんだタナトスが
それを欲しがるように
鎌首を擡げる
葬儀帰りの老夫婦
焼香 樟脳 眩暈の匂いが
パンタグラフに取り憑いた
流れ出した恐怖は電車の中へ
先に席を譲ったのは
取り憑いた 怪
席に座ったのは
みだれた花嫁衣装
凄まじいブレーキ音に
黒いストッキングの伝線が
思い車輪へと横たわる
切り取った
少女と女の五本指
すべてのマニキュア
彩り変えて
睫毛抜き取り
縁取った赤い
瞳(アイ)Line
教戒線が
カチ鳴りはじめる
カチカチカチ
秒針が長針短針刺しとめる
カチカチカチ
鳴り止まぬ音に
奥歯は砕かれ
瞼は縫われ
子宮は腫れて
肛門はただれた
掴んだ病針
カラス狙うな!
百舌鳥を串刺せヨ!
お前こそ
早贄にふさわしい
献花の花弁
急行電車に取り憑いた五本指
四足歩行になぞらえて
線路の繋ぎ目
漏れ出す淫
合極にしがみついては
狂い叫び
エロスにひそんだタナトスが
それを欲しがるように
鎌首を擡げる
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