2016年6月20日月曜日

詩#226 蛍の光

#226 蛍の光

源氏蛍の光る尻を指で隠す

その花弁は
雨と蛍の光で
溶けてしまうから
無灯火な篝火で
隠してしまうの
女彫り師の掘り上げた
秘密のタトゥーは
赤い目をした
蛍の光でしか
浮かび上がれない
けれども
蛍のキメラは
臀部に彫られた
秘儀のタトゥーの光でしか
光れないって…

「ねぇ
ちゃんと光らせるものを教えて
朝露が滴る頃には
命はないんですって」

嘆く生態学 青めく昆虫学 喪失の生理学

どこにも書かれていない教科書には
残さずに死ねる
交尾する人間の体位
抜けない痛みの勃起は
点滅する光の凄艶
剥がれた睫毛に燻る
縛り絞られた
虫かごの中の
儚い命



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