目の見えすぎる奴に
美艶の殺人鬼をあてがい
鼻が利く奴に
女盗賊を抱かせた
肉欲で縛る銀の匙は
爪伸びるサイクル早めた人猫
もいだ青柿
開いた手中に
腐乱の桃肉を握り
飢渇漏れ出させる
柿渋含ませた絵筆に
困窮の画家が撓み
着飾る裸婦
噛み砕いた桃の種に
拾い上げた
レモンの酸っぱさ
振り向いた鏡面は横座り
手繰り寄せた角瓶は
焦燥感で溢れかえり
ラムネを削るように
錠剤を削る
無意味な理性に
脅かされる
焼べた永代の花に
檸檬の木が植えられ
痛がりの陶酔を念じ
フォークを突き立てた
レモンの穴に
蝶の口吻する口唇が勃つ
パレットに出された色に
色はない
0 件のコメント:
コメントを投稿