2016年6月18日土曜日

詩#214 骨粗鬆症の女

#214 骨粗鬆症の女

積もれぬ
はぐれ雪の行く末は
主人の肉体に落ちる雪解け
待ち侘びる春の結晶尖らせ
上瞼に突き立てた指が
骸骨である事を知らせた
拒食症の女
「骨にはならないわ。」と
骨粗鬆症が笑ってみせる
真っ赤な夕日の青い空
口に含んだ吊り葡萄
残した皮が舌掠め
喉奥に置きざり
種子の色
液果の氷砂糖
閉じ込めた蟻の涎穴
月明りの太陽
月はのぼらなかったのか
太陽は自ら隠れたのか
次を支配した空の奴は
海色を何色にし
自身を映したか
暖とる灰猫 骨壷の中



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