2016年6月24日金曜日

詩#255 自制

#255 自制

念仏を突き上げた箱に頭を差し込んで
最初の女より最後の女でありたいと
細く細かい糸を伸ばし
余った精子をかき集めては
マッチ棒の頭を子宮壁に擦りつけた

放火魔が回した いけない火種は
キッチンのフローリングに落ち
猫ボスの毛玉を飲み込んでいく

「わたしが殺したのはあなたじゃない
 自分の声帯を殺したの
 ごめんないさい
 声だけは騙せなかった」

誰かの誰かからの供え物を咥えて舐めた
目の奥まで焼けただれてしまうような
においにむせ返ったくしゃみ
ナイフが羽布団を刺し
真っ黒なカラスの羽だけを
ベランダから自殺させてやる
幻聴に耳を研ぎ澄まし悲しませた分だけ





#怖い詩

#エロい詩

#官能的な詩


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