2016年6月14日火曜日

詩#191 体温時計

#191 体温時計

熱病の体温を
涙で測る小道具が
銀のパレッドの上に準備される
射抜く目に垂らす
形状涙型目薬の流行
落涙で剥がした太陽に
白装束の月光が奏でる
陶酔させない罰に
痛がる欄間の情景
僕の立ち入れない叫びが
蜘蛛の巣へ潮を吹かせ
居合わせる
背中合わせの鏡台に
女主人の仮面が研がれている
鏡に向かった素顔の
自然毒の落ちぬ化粧に
笑うため息がこぼれ
厚塗りする
なりすましの化粧を施した
犯人の男だけに見える女
口に挟み込まれた
白ティッシュの白染みと
白い言葉の羅列に
エロチズムにこすり合わせの貝が
赤い紅筆を読み解いた毒を
中和させていく
素顔の女は媚びずに
艶やかな唇



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