2016年6月17日金曜日

詩#210 肩入れ奉公

#210 肩入れ奉公

若気の至る
三年経っても実を付けぬ桃に
林檎の入れ知恵
処理される性の
肩入れ奉公は
観賞物に成りすました姫林檎
静寂のすました華頭窓に
糸に結わかれた
小指が小枝を摘むと
たわわな実の
ひとつだけが残され
はぐれた孤独症に犯された
女主人の剪定が
少女をはだく
頷いた枝なる歪に
吊るされたまま皮を剥き
垂れる果汁の
舌鼓を打てば
下から甘嚙みの咥え
穴掘る落ち葉を投げ入れた
オートクチュールの
ふわつく腐葉土
身投げの肉体労働 
腐乱する願掛け
群がる蟲の
腐らせぬ性欲を掻き立て
防腐剤手にした主人の罰に
あべこべの花腐病
腐れぬ花の欲しがり



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