2016年6月9日木曜日

詩#148 千代紙

#148 千代紙

有刺鉄線の止まり木に
カラスの爪音が
僕のかすれ声に足止まった
折り鶴の
目眩く絵本に拷問の挿絵
消された記憶の余情
澱を落とした
千代紙の僅かな膨らみ

川上りの過去
川下りの未来

急流の絶句に欲情のあてつけ
虚像の白鯨に俯き
太陽柱の虹色に勃てば
海原のおぶさる麻酔
深海の亀裂に吊り下がる



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