虚像に固められた
硬いシャボン玉を
ジャズピアノが吹き
折り目をつけた
潰れない泡を
クラリネットが飛ばす
泥酔した音を連れ歩く
リュート弾きの
死んだ組み足は固く
縛られた靴紐は
生きながらえた
靴底に湿る赤革の艶めき
踵の蹄鉄に汚された擦り傷は
棺桶にふざけて入った
肉親であって
真に受けた赤ん坊の火付け役
演奏者の音編みは
曲目のアンコールに
縮んだセーターの縮みを羽織る
男を待つ女の待たされない男
奏でる時は
「約束して。火種は弦の数だけ」
いくつもの
回らない火に増殖させた弦は
震える弦に打たれた
青年の妖
凍える寒さの
精液に濡らしたマッチの薬頭が
燃え盛る棺桶に安堵を浮かべ
女の太股にうずくまる
リュートの燃えかす
刺激を求めすぎた伴奏は
角を鋭角的に折り込む
憎しむ折り鶴を折る折り紙の折り合い
手相の手に沿う性欲の筋
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