2016年6月7日火曜日

詩#82 愛の写し

#82 愛の写し

触れた花汁のとろみ
かち割った卵が落とされ
流れ出した中に
黄身はいない
狂わされ
殺されるように
僕の肉脈は握られ
研がれた爪に
僕の切られた下唇
鋭利な滲み
ひややかに
熱帯帯びる痛みを
あなたの悦びに
血で写し返す


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