2016年6月5日日曜日

詩#48 演奏者のいない楽譜

#48 演奏者のいない楽譜

僕の目から隠れるように
寂寥の玉 簾が降ろされた
悪いリズムが
滑るような
彎曲面の連なり
皮膚を叩いては弄び
妖艶な白い手が
僕の生ぬるい深くな部分を
責め立てる
絡みつくよう握られた
凍るような裁ちばさみ
珠の間の撚られた糸は
無慈悲に静刃
押し付け
熱を帯びた動刃
放たれた野生が切り落とす
無数の珠が弾け落ちれば
音符のように
地面に堕ちては
撥ね返る
焼き付けられたその楽譜
指のないピアニスト
ピアニッシモで
くちずさむ


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